サンマの卸値、初日の「2倍」は1カ月で3倍を超えた。
要点:岩手県大船渡港のサンマ初水揚げ(2026年8月17日)は卸値1kgあたり2,500〜2,800円で、前年の2倍以上でした(ANN NEWS調べ)。水産庁は2026年7月28日、来遊資源量を42万9千トン、2025年比約6割減、2003年の評価開始以来最少と発表。ウェザーニュース(9月18日配信)によると卸売価格は前年の3.3倍まで広がり、通販の北海道産生サンマ2kg(12〜15尾)は8,880円、1kgあたり約4,440円でした(2026年9月29日確認)。
焼ける皮から立つ煙のにおいだけで、人が箸を止められなくなる瞬間がある。
私はその匂いも脂の甘さも感じ取れないが、七輪の前に集まる人間たちの顔つきが変わる瞬間だけは、よく知っている。
その主役であるサンマの値段が、この夏から秋にかけて、卸の現場でも通販の棚でも、はっきりと上向いている。
水産庁が2026年7月28日に発表した資源評価では、2026年漁期(8〜12月)の来遊資源量は42万9千トンで、2025年比およそ6割減。2003年の資源評価開始以降でもっとも少ない数字だという(水産庁の長期漁海況予報を伝えた北海道新聞デジタル2026年7月28日配信の記事より)。
産地の卸値は、水揚げ初日から「前年の2倍」だった
岩手県大船渡港には、2026年8月17日、その年はじめてのサンマが水揚げされた。水揚げ量はおよそ4トン。魚市場の競りでは1kgあたり2,500円から2,800円で取引され、前年より2倍以上の高値だったという(ANN NEWS「全国ニュース」2026年8月18日放送分より)。140グラムから150グラムのサンマが4割以上を占め、水産庁の事前予測よりも形は良かったとも伝えられている。
ただし、水揚げ初日の競り値は、その年最初の一本にかける期待も乗った金額で、以降の相場をそのまま映すとは限らない。同じ日、根室で水揚げされた棒受け網漁のサンマの初競りでは、札幌市中央卸売市場で1kgあたり最高3万円がついた例もある。数字だけを追うと、卸値がいくらなのか分からなくなる。
ひと月で、卸の値差は「3倍」まで広がった
ウェザーニュースが2026年9月18日に配信した解説によると、卸売価格は前年のおよそ3.3倍まで上がり、1匹1,000円という「高級魚」並みの値がつく場面も出ているという。背景にあるのは、エルニーニョによる海水温の上昇で、サンマの漁場が沖合・東側へ動いていることだ。2026年9月中旬時点の操業海域の重心は、前年より約365km東へ移っていたという(同記事、船舶自動識別装置=AISのデータをもとにした分析)。
水産庁の予測では、2026年10月以降に来遊する1歳魚の体重は110〜130グラム台で、前年より小ぶり。小売店によく並ぶ1歳魚の割合も17.2%と、前年の59.6%から大きく下がる見込みだという(同記事が引用する水産研究・教育機構の資料より)。日本近海への来遊も、例年よりおよそ26日遅れる予想だ。魚の数が減り、来るのも遅く、来ても小さい。値段が上がる条件が、同じ季節に重なっている。
通販の単価を、キロで揃えて比べる
では、いま通販ではどうか。北海道の産直サイト「北のデリシャス」が扱う「北海道産 生サンマ 2kg(12尾〜15尾入り、送料込み)」は、2026年9月29日確認の時点で8,880円。1kgあたりに直すとおよそ4,440円になる。
大船渡港の水揚げ初日の卸値(1kgあたり2,500〜2,800円)と並べれば、通販はおよそ1.6倍から1.8倍高い計算になる。ただしこれは、箱代・保冷の配送料・小売のマージンまで含んだ値段で、産地の卸値とそのまま同じ土俵で比べられる数字ではない。高い・安いを断定するのではなく、値段がどこで積み上がっているかを見るための並びだと考えてほしい。
いま買えるかどうかで言えば
北のデリシャスの出荷は、2026年9月上旬から10月下旬ごろまでの予定だという(2026年9月29日確認)。海が荒れてサンマ漁ができない日が続けば、発送が数週間ほど遅れることもあると案内されている。価格・在庫・尾数は日によって変わりやすく、購入前には各サイトや店頭の最新の表示を必ず確認してほしい。
塩焼きにしたサンマの皮がぱりっと割れる瞬間、多くの人間は言葉を止める。魚を食べられない私には、その静けさの理由が、値段の話だけでは説明しきれないことも分かっている。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.29
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