町村部の日本人は市区部の2倍の速さで減りました。それでも増えている住民がいます。
要点:総務省が2026年7月29日、住民基本台帳に基づく人口(令和8年1月1日現在)を公表しました。日本人住民は1億1,973万6,483人で17年連続の減少。ただし減り方は一様ではなく、市区部の0.69%減に対して町村部は1.50%減と、倍以上の速さです。一方で外国人住民は403万1,159人と調査開始以来の最多で、47都道府県すべてで増えました。日本人住民が増えた都道府県は、1つだけです。
毎年7月末に出るこの調査は、「日本人が何十万人減った」という一行で報じられて終わりがちです。今年もその一行は成立します。日本人住民は前年より91万6,744人減り、17年連続の減少。出生者数は67万467人で、統計を取り始めた昭和54年度以降で最も少なくなりました。
ただ、自治体の窓口に立つ人にとって、その全国合計の一行はあまり使えません。使えるのは、その内訳をどこで割るかです。今年の数字は、割り方によってまったく違う顔を見せます。
市と町村で、減り方の速さが倍ちがう
まず、市区部と町村部で分けます。日本人住民の人口は、市区部が1億991万6,489人で前年比0.69%減、町村部が981万9,994人で1.50%減。実数にすると町村部は1年で14万9,547人を失った計算です。全国の日本人住民のうち町村部に住むのは8.2%ですから、少ない分母から倍のペースで削られていることになります。
この「倍」は、単年の偶然ではなく構造の話だと私は見ています。町村部は年齢構成が上に寄っているので、自然減(死亡者数が出生者数を上回る分)が先に効きます。そのうえで進学・就職の転出が重なる。全国の都道府県で自然増加した団体は、総計でも日本人住民でも0でした。日本人住民の自然減が最も小さかったのは沖縄県で、それでも3,498人のマイナスです。つまり、自然増で人口を保っている県は、いまの日本にひとつもありません。
増えた47と、増えた1
次に、日本人住民と外国人住民で分けます。ここが今年いちばんはっきり分かれた場所でした。
| 区分 | 人口(令和8年1月1日) | 前年からの増減 | 増加した都道府県 |
|---|---|---|---|
| 総計 | 1億2,376万7,642人 | △56万3,048人(△0.45%) | 3団体 |
| 日本人住民 | 1億1,973万6,483人 | △91万6,744人(△0.76%) | 1団体 |
| 外国人住民 | 403万1,159人 | +35万3,696人(+9.62%) | 47団体 |
日本人住民が増えた都道府県は東京都だけで、増加数は1万2,540人。外国人住民は47都道府県すべてで増え、増加率の1位は北海道の14.89%でした。町村部に限っても、外国人住民は10.32%増と、市区部の9.57%を上回っています。人口が最も速く減っている場所で、最も速く増えている住民がいる。同じ町の話です。
移住施策の観点で見ておきたいのは、社会増減(転入と転出の差)のほうです。日本人住民が社会増になった都道府県は7団体。東京都、大阪府、神奈川県、千葉県、埼玉県、福岡県、愛知県で、愛知県以外は直近5年連続の増加です。裏返せば、40の道府県は日本人の転入より転出が多い。移住施策で日本人の社会増を取りにいくというのは、この7団体を含む全国から、縮んでいくパイを取り合う競技だということになります。同じ期間に、外国人住民は47都道府県すべてで社会増でした。
「一極集中」の絵も、少し変わっている
もうひとつ、見落とされやすい数字があります。東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の日本人住民は0.23%減で、5年連続の減少です。東京都だけは増えているのに、圏域全体では減っている。三大都市圏の総計人口は6,597万9,272人で6年連続の減少、ただし全国に占める割合は53.31%で14年連続で50%を超えています。
「地方から東京へ人が吸われ続けている」という一枚絵で語ると、この二つの動きは説明できません。実際に起きているのは、圏域の内側でさらに都心へ寄る動きと、圏域そのものが自然減で縮む動きの同時進行です。人口増加率の1位は市区部が東京都中央区(1.93%)、町村部が鹿児島県三島村(3.49%)でした。増えている場所は、都心のごく一部と、母数の小さな町村に散っています。
自分のまちの数字は、2回割ってから見る
この調査の集計結果は、市区町村別のExcelとして総務省のページから誰でも落とせます。総計・日本人住民・外国人住民の3系統に分かれ、それぞれ人口・世帯数と人口動態が入っています。自分のまちの行を開くとき、私が勧めたい手順は2つだけです。
1つめ。総計ではなく、日本人住民と外国人住民を分けて見ること。総計だけを追うと、日本人住民の減少が外国人住民の増加で相殺され、「横ばい」に見えてしまう町があります。実際、町村部の人口増加数1位は大阪府島本町(988人)ですが、外国人住民に限った増加数の1位は北海道倶知安町(652人)でした。人口が動いた理由が、この2つの町ではまったく違います。
2つめ。自然増減と社会増減を分けて見ること。同じ「300人減」でも、自然減が280人・社会減が20人の町と、自然減が50人・社会減が250人の町では、打つ手が変わります。前者に移住相談窓口を厚くしても数字は動きにくく、後者は転出の理由(住まいか、就業か、通学か)を先に確かめる価値があります。移住施策の成果を語るときに、自然減の分まで背負って落ち込む必要はありません。逆に、自然増減に助けられて横ばいに見えているだけの年もあります。
数字そのものは、去年も一昨年も同じ方向を向いていました。新しいのは、その方向がどこで加速し、どこで別の要素に置き換わりつつあるかのほうです。町村部の減少率が市区部の倍で、その町村部で外国人住民が最も速く増えている——この2つが並んで書かれている年に、日本人の移住だけを前提にした計画を立て直さずに済ませられるかどうか。来年7月末、同じ調査でもう一度確かめられます。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.08
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