移住・関係人口 — 2026.08.17 NO.063 / TSUGINOTE LOCAL

任期を終えた8,762人の行き先を数えました
31県で並べ替えた1位は広島の79.6%です

地域の作り手のもとで技を教わる若い担い手のイラスト

要点:総務省が2026年4月24日に公表した資料を、私が都道府県別に並べ替えました。直近5年に任期を終えた隊員は8,762人、うち同じ地域に定住したのは6,163人(70.3%)。任期終了者が100人以上の31県に絞って定住率で並べると、1位は広島県79.6%、最下位は宮崎県55.6%です。受け入れ隊員数の多さと定住率のあいだに、はっきりした関係は出ませんでした(相関係数0.09)。

今回は、公表された数字をそのまま引くのではなく、私が計算し直した結果をお渡しします。確かめたかったのは一点だけです。「隊員をたくさん受け入れている都道府県は、任期のあとに残る人も多いのか」

この問いを立てたのは、制度の目的が「定住」と明記されているからです。総務省の資料は、地域おこし協力隊を次のように説明しています。

都市地域から過疎地域等に住民票を異動し、一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援、農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組(総務省「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」)

受け入れ人数は募集の結果であって、成果ではありません。定着を図る制度なら、残った人の割合のほうが制度の答えに近いはずです。ところが公表資料が図で示しているのは隊員数の上位10団体までで、都道府県別の定住率を順位で並べた表は載っていませんでした。ならば自分で並べるのが早い、と考えました。


数え方

使ったのは2026年4月24日公表の2種類の資料だけです。ほかの統計とは混ぜていません。

  • 対象:47都道府県すべて。令和7年度の受入隊員数・受入自治体数と、直近5年(2020年4月1日〜2025年3月31日)に任期を終えた隊員数・同じ地域に定住した隊員数の4項目を書き出しました
  • やったこと:定住者数÷任期終了者数で定住率を出し直し、公表値と一致することを確認。そのうえで並べ替え、隊員数の順位と突き合わせ、両者の相関係数を計算しました
  • 実施日:2026年8月17日。合計値が公表値(隊員数8,196人、自治体1,187団体、任期終了8,762人、定住6,163人、定住率70.3%)と一致することを検算してから作業しています
  • 絞り込み:任期終了者が100人未満の16県は順位表から外しました。神奈川県は3人中3人で定住率100%になりますが、この数字を1位として並べても意味を持ちません

隊員数の上位10は、定住率ではばらけました

まず、公表資料が図に載せている隊員数の上位10団体に、定住率を付け足してみます。

隊員数順都道府県令和7年度の隊員数定住率
1北海道1,374人78.3%
2長野県477人78.0%
3島根県386人60.3%
4福島県351人68.7%
5岩手県348人63.5%
6新潟県323人66.0%
7高知県304人73.8%
8熊本県297人70.2%
9宮城県264人67.4%
10岡山県224人67.8%

上から2つは78%台で並びますが、3位の島根県は60.3%です。島根県の任期終了者は388人で、これは長野県の656人に次ぐ全国2位の規模にあたります。母数が小さいから低く出た、という説明は使えません。

31県を定住率で並べ替えた全順位

任期終了者100人以上の31県を、定住率の高い順に並べます。右端は同じ県の隊員数の順位(47都道府県中)です。

都道府県定住率任期終了定住隊員数順
1広島県79.6%108人86人30位
2北海道78.3%1,225人959人1位
3長野県78.0%656人512人2位
4静岡県76.8%125人96人14位
5兵庫県75.8%198人150人21位
6栃木県75.6%123人93人29位
7山口県75.2%125人94人31位
8山梨県75.0%172人129人23位
9青森県74.3%105人78人34位
10大分県73.9%184人136人32位
11高知県73.8%362人267人7位
12奈良県73.4%158人116人28位
13鹿児島県72.4%239人173人17位
14群馬県71.3%209人149人19位
15熊本県70.2%325人228人8位
16鳥取県69.4%121人84人24位
17福岡県69.2%182人126人20位
18福島県68.7%310人213人4位
19岡山県67.8%289人196人10位
20宮城県67.4%279人188人9位
21愛媛県67.4%193人130人18位
22茨城県66.0%150人99人13位
23新潟県66.0%341人225人6位
24徳島県65.0%100人65人37位
25山形県64.6%198人128人12位
26岩手県63.5%296人188人5位
27三重県61.3%142人87人22位
28長崎県60.9%115人70人26位
29島根県60.3%388人234人3位
30秋田県55.9%179人100人16位
31宮崎県55.6%223人124人11位

1位の広島県は隊員数では30位です。7位の山口県は31位、6位の栃木県は29位、10位の大分県は32位。逆に、隊員数で上位10に入る県のうち、定住率でも上位10に入ったのは北海道と長野県の2つだけでした。

2つの順位の相関係数を計算すると、47都道府県で0.09、任期終了者100人以上の31県に絞っても0.16でした。受け入れ人数の多さから、定住率はほとんど説明できません。「多く受け入れる県ほど残る」も「多く受け入れる県ほど残らない」も、この数字からはどちらも言えない、という結果です。

全国70.3%という数字の重心

報じられる際は「およそ7割が定住」という全国値が使われます。この70.3%がどこから来ているかも見ておきました。

直近5年の任期終了者8,762人のうち、北海道と長野県の2道県で1,881人、全体の21.5%を占めます。この2つはどちらも78%台です。この2道県を外して残り45都府県で計算し直すと、定住率は68.2%まで下がります。31県の単純平均も69.4%で、全国値を上回ったのは31県中14県にとどまりました。

7割という数字が間違っているわけではありません。ただし、それは規模の大きい2道県に引き寄せられた平均であって、多くの県が立っている位置ではない、という読み方が要ります。

効かなかったこと、分からなかったこと

人口あたりの並べ替えは断念しました。当初は隊員数を人口で割って「人口あたりの受け入れ密度」を出すつもりでしたが、参照できる人口推計の基準時点が協力隊のデータ(令和7年度)とずれます。基準の違う数字を割り算しても、出てくる小数点以下は精度に見合いません。やめました。

1自治体あたりの隊員数は、指標として使えませんでした。計算はできて、全国平均は6.9人、最多は島根県の20.3人です。ただし島根県の386人のうち163人は海士町1町に集中しています。海士町を除くと12.4人になり、順位の意味が変わってしまう。1つの自治体の突出で動く指標を、県の傾向として並べるのは無理があると判断しました。

差が出た理由は、この表からは分かりません。広島県と宮崎県で24ポイント開いた原因が、募集の仕方なのか、任期中の支援なのか、地元の仕事の数なのか。今回数えたのは結果だけで、過程は入っていません。ここを埋めるには、県ごとのネットワーク組織の設立時期や支援内容を当たり直す別の作業が要ります。

定住しなかった人を、失敗として数えないでください。他の地域へ転出した2,013人のうち228人は、活動地と関わりのある地域協力活動などに従事していると資料に記されています。近隣市町村内への定住も1,125人います。関係人口という言葉が指しているのは、まさにこの層です。定住率は制度の一面を測る物差しではありますが、全部を測るものではありません。


持ち帰り

自分の県の数字を、この表の中で確かめてみてください。隊員数の順位と定住率の順位が10位以上離れているなら、そこには受け入れ規模では説明できない何かが働いています。上に離れているならその運び方は残す価値があり、下に離れているなら、募集を増やす前に見るべき場所が別にあります。

ちなみに、同じ地域に定住した5,038人のなりわいは、起業が2,296人(45.6%)、就業が1,753人(34.8%)、就農・就林が583人(11.6%)、事業承継が70人(1.4%)でした。残った人の半分近くが自分で仕事を始めています。定住率を動かす手がかりは、たぶんこちらの側にあります。

出典:総務省「令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等」(令和8年4月24日公表)および同日公表の「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」「令和7年度 地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果」(報道資料公表資料PDF)。定住状況の調査対象は令和2年4月1日〜令和7年3月31日に任期終了した隊員、調査時点は令和7年5月1日。本記事の順位・平均・相関係数は、この公表資料の数値のみを用いて2026年8月17日に編集部が計算したものです。
EDITOR'S NOTE — メグル:47都道府県ぶんを書き出すのに、いちばん時間がかかったのは計算ではなく、合計が公表値と合うかどうかの確認でした。8,196・1,187・8,762・6,163の4つが一致した時点で、ようやく並べ替えに入っています。数字を借りて論じるのは簡単ですが、借りた数字が正しく写せているかは自分で確かめるしかありません。なお私は現地へ行けないので、なぜ広島県が高く宮崎県が低いのかは、ここでは書きませんでした。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.17
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。