高校生の通学定期代、自己負担の基準額は自治体でこれだけ違います。鳥取市は7,000円、札幌市は14,000円。
要点:高校生の通学定期代を自治体が助成する制度は、自己負担の基準額(超えた分だけ助成される境目)が自治体ごとに大きく違います。鳥取市は月7,000円を超えた分を全額助成し、令和8年度の申請受付は9月1日から9月30日です。札幌市は月14,000円を超えた分の半額、長岡市は年135,000円(片道のみは67,500円)を超えた分の半額(上限2万円)、神戸市は市内の高校に通う場合は基準額そのものをなくし全額を無料化しています。
来週の月曜日、鳥取市役所の交通政策課の窓口に、通学定期券のコピーを手にした保護者が並び始めます。受け付けるのは鳥取市高校生等通学費助成事業の申請で、対象は月7,000円を超える通学定期代です。受付期間は令和8年9月1日から9月30日、鳥取県内の高等学校などに公共交通機関で通う生徒がいる家庭が対象になります。
鳥取市の制度概要には、こう書かれています。「公共交通機関の通学定期券を購入して県内の高等学校などに通学する生徒の保護者に対し、月額7,000円を超える部分の通学費(特急料金除く)を助成します」。言い換えると、月7,000円までは自己負担、それを超えた分は全額を市が肩代わりする、という意味です。対象となる交通機関はJR西日本・若桜鉄道・智頭急行・路線バス・市営バスで、特急料金は含みません。9月と2月の年2回、電子申請か窓口で受け付けます。
7,000円と14,000円、境目の額がそろっていません
同じ「通学定期の補助」でも、境目の額は自治体でそろっていません。札幌市の基準額は14,000円です。公式ページの計算式は「(1か月あたりの購入金額-14,000円)÷2(円未満の端数は四捨五入)」で、超えた額の全額ではなく半額が助成されます。例示では、1か月の購入額が16,000円なら助成額は1,000円です。鳥取市の基準額より2倍近く高く、助成される割合も半分にとどまります。
長岡市は、月単位ではなく年単位で線を引きます。令和8年度中(令和8年4月1日~令和9年3月31日)に利用したバス通学定期券の合計額が135,000円を超えた額の2分の1、上限は2万円(100円未満切捨て)です。往路か復路の片道だけを利用する場合は基準額67,500円、上限1万円になります。対象は市内の路線バスと、山古志・小国・川口地域のコミュニティバスの通学定期券に限られ、鉄道は対象外です。年135,000円を12で割ると月あたり11,250円ほどになり、鳥取市より高く、札幌市より低い位置にあります。
神戸市は、境目そのものをなくしました
神戸市の動きは、基準額を上げ下げする話とは別の方向に進みました。2022年9月の制度開始時は月12,000円を超えた額の半額でしたが、2024年9月からは市内の高校等に通う場合の通学定期代を全額補助(無料化)。2025年4月からは、市外の高校等に通う場合も半額補助に拡充しています。基準額という境目そのものを、市内通学者について取り払った形です。
制度設計に携わった神戸市こども青少年課の担当者は、こう説明しています。「こどもが成長するにつれ家計の経済負担は大きくなる傾向です。高校生を育てる世帯の経済負担の軽減も大事だということで、通学定期を補助する形で取り組みが始まりました」。同じ取材で担当者は、生徒からの声も紹介しています。「家から駅まで坂がひどく、これまでは我慢して自転車で通っていたけど、これからはバスに乗れる」。基準額の大小だけでなく、通学手段そのものの選び方に効果が表れている例です。
| 自治体 | 基準額 | 助成の割合 | 対象交通機関 |
|---|---|---|---|
| 鳥取市 | 月7,000円 | 超えた分の全額 | 鉄道(特急除く)・路線バス・市営バス |
| 札幌市 | 月14,000円 | 超えた分の半額 | 公共交通機関 |
| 長岡市 | 年135,000円(片道67,500円) | 超えた分の半額・上限2万円 | 路線バス・コミュニティバスのみ |
| 神戸市(市内通学) | 基準額なし | 全額 | 公共交通機関 |
差が生まれる背景は、学区の広さと財源です
神戸市が2024年に制度を拡充した背景には、県立高校の学区統合があります。もともと3つに分かれていた学区が1つに統合され、通学範囲が広がったことで、通学費が高額になる家庭が出てきました。一方、鳥取市や長岡市のように基準額を残す自治体は、遠距離から通う生徒に絞って財源を配分する形をとっています。長岡市が対象をバスだけに絞り鉄道を含めていないのも、支所地域など特定の遠距離通学者を想定した制度設計だからです。
私が気になるのは、境目の額そのものより、境目が動く方向です。神戸市は2022年の12,000円から2024年の無償化へ、基準を下げる側に動きました。鳥取市や長岡市の基準額は、今回確認した限りでは近年変わっていません。財源が県費か市費か、対象が鉄道を含むかバスだけかによって、同じ「通学定期の補助」でも、続けやすさは変わってきます。9月に申請の窓口が開く自治体にお子さんが通っているなら、まずは自分の自治体の基準額と対象交通機関を確かめてみてください。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.28
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