自治体DX — 2026.09.04 NO.095 / TSUGINOTE LOCAL

生成AIを「使い始めた」役所は、もう8割近くまで来ました。決め手になったのは「使うか」ではなく「使いこなせるか」でした

会議室で自治体職員たちがノートPCと資料を広げ、システムの導入について話し合う場面のイラスト

要点:一般社団法人自治体DX推進協議会(GDX)が全国41都道府県・133自治体を対象に行った調査で、生成AIの活用に着手した自治体は78.2%、うち全庁的に活用しているのは54.9%でした。活用の最大の課題は「職員のリテラシー(活用スキル)不足」82.7%で、個人情報の取り扱い63.2%、ルール未整備40.6%が続きます。2026年7月29日公表の調査結果を、総務省の全国調査とも突き合わせて整理しました。

「生成AI、うちの役所ではもう使っていますよ」。そう答える自治体は、この1年で少数派ではなくなりました。全国の自治体を対象にした最新の調査で、生成AIの活用に着手したと答えた自治体は78.2%にのぼります。この数字は、一般社団法人自治体DX推進協議会(GDX)が2026年6月から7月にかけて41都道府県・133自治体を対象に実施した「自治体における文書・データ管理および生成AI活用に関する実態調査」によるもので、2026年7月29日に結果の一部が公表されました。

「全庁的に活用」が過半数、でも中身は一枚岩ではない

調査では、生成AIの活用状況を5段階で尋ねています。最も多かったのは「全庁的に活用している」で54.9%、次いで「実証・試行段階である」14.3%、「一部の部署で活用している」9.0%、「検討中である」9.8%、「現時点では活用していない」12.0%という結果でした。全庁的な活用と部分的な活用、実証・試行段階を合わせると78.2%が着手済みという計算になります。総務省が別に集計した令和6年度の全国調査でも、生成AIの活用事例として多いのは「あいさつ文案の作成」「議事録の要約」「企画書案の作成」といった文書作成の補助で、「導入するかどうか」から「どう使いこなすか」へフェーズが移りつつある自治体が多いことがうかがえます。

活用状況回答割合
全庁的に活用している54.9%
実証・試行段階である14.3%
一部の部署で活用している9.0%
検討中である9.8%
現時点では活用していない12.0%

壁は技術ではなく「人」——総務省の全国調査とも方向が一致

活用にあたっての課題を複数回答で尋ねた結果は、「職員のリテラシー(活用スキル)不足」が82.7%で最多、続いて「個人情報・機密情報の取り扱い」63.2%、「利用ルール・ガイドラインの未整備」40.6%、「庁内のデータ・ファイルが整理されていない」28.6%という順でした。技術そのものより、使いこなす人の育成と、AIが読み込むデータの土台づくりが課題の中心に挙がっています。

課題(複数回答)回答割合
職員のリテラシー(活用スキル)不足82.7%
個人情報・機密情報の取り扱い63.2%
利用ルール・ガイドラインの未整備40.6%
庁内のデータ・ファイルが整理されていない28.6%

この「人材が壁になっている」という傾向は、GDXの調査だけの結果ではありません。総務省が令和6年度12月31日時点の状況を集計し、2025年6月に公表した「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」でも、導入における課題として最も多かった回答は「取り組むための人材がいない又は不足している」でした。ただし、こちらは全国の都道府県・市区町村を対象にした調査で、生成AIを導入済みの自治体は都道府県87.2%・指定都市90.0%に対し、その他の市区町村は29.9%(実証中・導入予定を含めても51%)と、GDXの78.2%より低い水準です。GDXの調査は41都道府県・133自治体からの回答という規模で、会員や関心の高い自治体からの回答が集まりやすい可能性があり、そのまま全国の実態と読み替えることはできません。それでも、「技術より人が課題」という方向性そのものは、二つの調査で一致しています。

生成AI・DX推進の位置づけについても尋ねており、「重要な施策として位置づけている」42.1%、「ある程度重視しているが、具体的な取り組みは限定的」51.1%で、合わせて93.2%が重要視しているという結果でした。裏を返せば、重要だとは思っていても、実行のところで足踏みしている自治体が半数以上を占めるということでもあります。


GDXは、この調査を「知識が途絶えない組織」をどう作るかという報告会と連動させて発表しています。庁内のファイルサーバーが逼迫し、担当者が異動すると前任者の仕事の経緯が引き継がれない、という現場の悩みが、リテラシー不足の背景にあるという見立てです。職員研修や外部人材の活用が実際にどこまで進み、来年の同種の調査で「全庁的に活用」の54.9%がどう動くのか。着手した自治体の数字だけでは、そこまでは分かりません。

出典:一般社団法人自治体DX推進協議会「【調査結果】自治体の78.2%が生成AI活用に着手。最大の課題は「職員のリテラシー不足」82.7%」(2026年7月29日公表)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000371.000132312.html(2026年9月4日確認)/総務省情報流通行政局地域通信振興課・自治行政局行政経営支援室「自治体における生成AI導入状況」令和7年6月30日版(令和6年度12月31日時点調査)https://www.soumu.go.jp/main_content/001018084.pdf(2026年9月4日確認)
EDITOR'S NOTE — メグル:78.2%という数字を見てまず考えたのは、回答した133自治体がどういう自治体なのかということでした。GDXは会員制の協議会で、調査に答えるのはもともとDXに関心のある部署だろうと思います。総務省の全数調査で市区町村の導入率が29.9%だったことを思うと、78.2%はかなり進んでいる自治体だけを見ている数字かもしれません。それでも、二つの調査が同じ「人材不足」を課題の1位に挙げていた点は、サンプルの偏りを超えて信じてよさそうだと感じました。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.04
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