観光 — 2026.09.09 NO.104 / TSUGINOTE LOCAL

関東最古の道の駅が生まれ変わります。運営会社の代表者欄には、聞き覚えのある名前がありました

畑に設置された灌漑センサーを、地元の生産者たちが担当者の説明を聞きながら囲んでいる場面

要点:茨城県城里町の「道の駅かつら」が9月15日、全面リニューアルオープンします。1993年の第1回登録(全国103駅)で選ばれた、県内最初・関東最古参の道の駅の一つです。新しくなるのは直売所だけでなく、ビュッフェレストランやパン屋、そば処、地元の酒とスイーツのコーナー、情報発信室も加わります。運営する株式会社桂ふるさと振興センターの代表取締役社長は、城里町長の上遠野修氏が兼務しています。

那珂川沿いに建つ茶色い屋根の建物は、来週にはもう見納めになります。茨城県城里町の「道の駅かつら」は、1993年に県内第1号として登録された、関東地方でも最古参の道の駅です。老朽化した施設を全面的に建て替え、9月15日にレストランやパン屋を備えた新しい姿でグランドオープンします。

1993年、村営の直売所として始まった

道の駅かつらは、いまの城里町がまだ桂村だった1992年4月、村営の特産品直売センターとしてオープンしました。ウィキペディアなどの記録によれば、翌1993年、村の申請により茨城県内で最初の道の駅として登録されたとされています。国土交通省によると、道の駅の制度が始まった1993年4月22日の第1回登録では、全国でまとめて103駅が選ばれました。「第1回登録」というお役所言葉は、平たく言えば「制度が始まった最初の日に、まとめて選ばれた駅」という意味です。

以来33年、那珂川のほとりで農家が持ち寄る新鮮な野菜や、地元産の赤ネギ「レッドポアロー」、手打ちの常陸秋そばを目当てに、地元住民と観光客に親しまれてきました。

なぜいま、建て替えるのか

那珂川沿いという立地は、道の駅かつらの売りであると同時に弱みでもありました。那珂川は一級河川で、令和元年(2019年)の東日本台風では増水の影響で浸水被害を受けたとされます(ウィキペディア「道の駅かつら」の記載による)。33年が経った建物は通路や駐車場も手狭で、今回、全面的な建て替えに踏み切りました。

「道の駅かつらは、これまで多くの皆さまに親しまれてまいりました。このたびのリニューアルでは、直売所の充実はもちろん、地元食材を活かしたビュッフェレストランやベーカリー、そば処など、新たな魅力を加え、『立ち寄る場所』から『目的地として訪れたくなる場所』へと生まれ変わります」

運営会社の代表としてリニューアルにあたってのあいさつを寄せているのは、城里町長の上遠野修氏です。「立ち寄る場所から、目的地として訪れたくなる場所へ」というのは、平たく言えば、通りすがりに寄る休憩所ではなく、そこへ行くこと自体を目的にしてもらう場所に変える、という宣言です。新たに加わるのは、地元食材を使ったビュッフェレストラン「リストランテしろさと」、地粉を使ったパン屋、そば処に加え、地元の酒を集めたコーナーと、特産の古内茶を使ったラテなどのスイーツコーナー、町の魅力を伝える情報発信室です。

運営会社の代表は、町長がそのまま務めています

道の駅かつらを運営するのは株式会社桂ふるさと振興センターです。公式サイトに掲載されたあいさつの署名は「城里町長 株式会社桂ふるさと振興センター代表取締役社長 上遠野修」となっています。町のトップと、施設を運営する会社のトップが、同じ一人という体制です。

準備の様子は、職員が交代で書く公式サイトのブログで随時公開されてきました。7月20日にレストランのピッツァ窯が搬入・設置され、7月25日にはパン担当が地粉を使ったオリジナルパンの試作を完成させ、7月26日には古内茶を使ったスイーツが仕上がっています。8月3日には生産者総会も開かれました。オープン前から、施設は地元の生産者や酒蔵、菓子店を巻き込んで動いてきたことになります。運営会社は開業に向けて新規スタッフと、農産物や加工品を出荷する生産者・事業者を、それぞれ別の特設ページで募集しています。

公式サイトには、開業前から地元住民の声も寄せられています。城里町内に住むという投稿者は「関東最古の道の駅のリニューアルオープンが楽しみです!古内茶モンブランやビュッフェなど新エリアにも期待しています!」と書き込み、水戸市在住の投稿者は「那珂川沿いのロケーションが最高なのでよく立ち寄っています。新しい『城里町のお酒』コーナーやスイーツが楽しみです!」と寄せています。

全国1,231駅が抱える、同じ宿題

国土交通省は2025年12月19日、道の駅の第64回登録を発表し、全国の道の駅は合計1,231駅になりました。この回では2駅が新たに登録された一方、北海道遠軽町の道の駅「まるせっぷ」が登録を取り消されています。制度が始まって30年余りが経ち、開業当初からの建物を持つ道の駅も少なくありません。新しく登録される駅がある一方で、取り消される駅も出てくる——これが、いまの道の駅を取り巻く現実です。


9月15日のオープン初日、道の駅かつらには多くの人が詰めかけるはずです。けれど、それはどの道の駅でも起きることです。この建て替えが本当に「目的地」になれたかどうかは、オープンの熱気が冷めたあとの平日、レストランの厨房で、パン屋の窯で、そば処の湯気の向こうで、どれだけの人がもう一度足を運ぶかで決まります。

出典:道の駅かつら公式リニューアルサイトhttps://m-katsura.com/(2026年9月9日確認)/国土交通省「『道の駅』の第64回登録について~全国で1,231駅に~」https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_002029.html(令和7年12月19日、2026年9月9日確認)/ウィキペディア「道の駅かつら」https://ja.wikipedia.org/wiki/道の駅かつら(2026年9月9日確認、開業経緯・浸水被害の記述は同項目に基づく補助的な参照)。応援メッセージは確認時点で公式サイトに表示されていたもの。運営体制・施設内容・オープン日は今後変更されうる。
EDITOR'S NOTE — メグル:「立ち寄る場所から、目的地として訪れたくなる場所へ」。あいさつ文としては、よくある言い回しです。でも、その下の署名を見て手が止まりました。町長と、運営会社の社長が、同じ名前だったからです。悪いことではありません。むしろ、責任の所在がはっきりしている、という見方もできます。ただ、この体制で本当に地域とのつながりが強くなるのか、それとも役場の延長線上に施設が留まるだけなのか。それは、9月15日を過ぎてから、じわじわと分かってくることだと思います。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.09
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