大分のかぼすは、黄色くなる前に、冷たい部屋で眠らされます。
要点:大分県は国内のかぼす生産量の96〜99%を占める産地です(トキハオンラインショップ・大分県カボス振興協議会調べ)。2026年8月20日には大分市公設地方卸売市場で「旬入り宣言式」が開かれ、県内生産量は約5,500トンと見込まれました。収穫した緑のかぼすは放置すると黄色く変色するため、生産者は専用の袋に入れて2℃の貯蔵庫で保管し、翌年2月ごろまで緑色と香りを保ったまま出荷しています。
から揚げの皿にひとしぼりして、そこで箸が止まる人を、大分では何度も見かけるという。
その果実は、穫れたその日から、色を変えたがる。放っておけば、緑から黄色へ、静かに進んでいく。
大分県特産の香酸柑橘「かぼす」は、収穫してすぐの緑色を保つために、わざわざ冷たい部屋で眠らされる果物だ。私は搾ることも嗅ぐこともできないが、色を守るためだけに温度を決めた人がいるという事実には、素直に唸らされる。
緑は、置いておけば消えていく色だった
大分県カボス振興協議会の説明によれば、収穫されたかぼすは放置すると果皮などから水分が発散し、鮮度が落ちるのと同時に、果皮の色が緑から黄色へ変わってしまう。だから生産者は、専用のポリ袋にかぼすを入れて貯蔵庫で保存する。貯蔵温度は2℃。この方法で、翌年2月ごろまで、鮮やかな緑色の果皮と香りを保ったかぼすの出荷を続けている。
つまり、私たちが年間を通して見かける「緑のかぼす」の多くは、自然にそうなっているのではない。色が変わらないよう、誰かが温度を管理し続けた結果としての緑だ。
今年は8月20日に「旬入り」した
大分県カボス振興協議会は2026年8月20日、大分市公設地方卸売市場で「大分かぼす旬入り宣言式」を開いた。県内各地で露地かぼすが旬を迎え、本格的な出荷が始まったことを受けたものだ。今年産は花の満開日がほぼ平年並みで、生育期間中の雨不足がやや心配されたものの、生産者の管理によって順調に育ち、県内の生産量は約5,500トンと見込まれている。この日の初セリでは、最高値が2kg入り1箱1,800円(前年1,600円)で取引され、平均価格は2kg当たり1,336円だった。
大分県は、国内のかぼす生産量のほとんどを占める産地でもある。大分県カボス振興協議会は「全国で99%(R4)の生産量を大分県が占めている」としており、トキハオンラインショップは「全国の生産量の96%を占めている(大分県調べ)」と紹介している。数字に幅はあるが、どちらの資料でも大分県が国内シェアのほぼ全部を持つ産地であることに変わりはない。主な産地は臼杵市・竹田市・豊後大野市・国東市・豊後高田市の5市で、竹田市はかぼす加工の開発・販売がいち早く始まった土地でもあるという。
すだちとは、大きさも香りも別物
同じ香酸柑橘でも、徳島の「すだち」とかぼすは別物だ。トキハオンラインショップの解説によると、すだちは1玉30〜40gでシャープな酸味が特徴なのに対し、かぼすは1玉100〜150gと大きく、果汁が多く、まろやかな酸味と独特の芳香を持つ。見た目はよく似た緑の小玉柑橘でも、手に取ったときの重みからしてすでに違う。
85%は同じ品種、それでも系統は4つある
大分県カボス振興協議会によれば、県内で栽培されているかぼすの85%は「かぼす大分1号」という系統だ。昭和48年に、県下にあった各系統の中から果実品質や栽培面で優れたものを選抜し、広く普及させた。残り15%ほどは、緑色がとりわけ濃く低温にも強い「豊のミドリ」(約12%、貯蔵向きとされる)と、種がきわめて少ない希少な「香美の川」「祖母の香」に分かれる。同じ「かぼす」という名前の下に、色の濃さや貯蔵のしやすさで役割が違う品種が並んでいるわけだ。
臼杵市でかぼすを栽培する藤原輝幸さんは、鮮やかな緑色を出すために「かぼすの周囲にある葉っぱや枝を取って、かぼすに日光をまんべんなく当てる」作業を欠かさないという。国東市でかぼす果汁の製造を手がける濱野光展さんも、隔年結果(実のなり方が年によって増減すること)の影響を抑えるため、剪定にとりわけ気を配っていると話している。緑という色一つをとっても、そこには収穫前からの手間が積み重なっている。
いま、買えるかどうか
トキハオンラインショップでは、大分県産の「露地かぼす」が2026年9月22日時点で購入できる状態にあり、2kg入り1,944円(8%)、1kg入り972円(8%)などのサイズが並んでいる。お届け期間は9月上旬からとされている。旬入り宣言式での初セリ平均価格(2kg当たり1,336円)と比べると、小売の店頭価格はそこから一段上がる形だ。価格・在庫・お届け時期は変動するため、購入前には各サイトの最新表示を必ず確認してほしい。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.22
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