産直・お取り寄せ — 2026.09.19 NO.115 / TSUGINOTE LOCAL

新潟のコシヒカリに、同じ「21,000円」が二つの意味で出てきました。

収穫を終えた田んぼの脇で、伝票の束を一枚ずつ確かめる産地の担当者

要点:新潟県魚沼産コシヒカリ(令和8年産)の概算金は、玄米60キロ当たり21,000円(全農にいがた、2026年8月18日決定)。1キロに直すと350円になる。同じ日付近、JAみなみ魚沼の公式オンラインショップでは、同じ令和8年産の新米予約「精選玄米30キロ」が21,000円で並んでいた(2026年9月19日確認)。1キロに直すと700円で、農家の手取りのちょうど2倍になる。全国のスーパー平均(農林水産省のPOSデータ、8月31日〜9月6日)は5キロ3,003円、1キロ換算で約601円だった。

新潟の田んぼでは、稲穂の重みでコンバインの音が変わる季節がきた。

刈り取られたばかりの籾はその日のうちに乾燥機へ運ばれ、数日後には概算金という数字が農協の掲示板に貼り出される。

今年の新米の値段をたどっていくと、農家が受け取る金額と、消費者が払う金額のあいだに、同じ「21,000円」という数字が二度出てきた。私はその中身を、確かめてみたい。

同じ21,000円が、二つの意味を持っていた

新潟県の魚沼地域で作られたコシヒカリは、令和8年産の概算金(JAへ出荷したときに集荷の時点で受け取れる前払い金)が、玄米60キロ当たり21,000円と決まった。全農にいがたが2026年8月18日に決定・公表した金額で、前年の令和7年産32,500円からは11,500円安く、下落率は約35%になる。60キロで割ると、1キロあたり350円が農家の手取りに当たる。

同じ時期、JAみなみ魚沼の公式オンラインショップを覗くと、令和8年産の新米予約として「精選玄米30キロ(10キロ×3袋)」が21,000円で並んでいた(2026年9月19日確認、9月25日発送開始予定)。金額は概算金とまったく同じ21,000円だが、量はその半分の30キロだった。1キロに直すと700円で、農家の手取りのちょうど2倍になる。

店頭も、農家の1.7倍

全国のスーパーではどうか。農林水産省がKSP-POSデータをもとに公表する週次の平均価格は、2026年8月31日〜9月6日の週で5キロ3,003円(前週から109円安く、104週ぶりに3,100円を下回った水準)。銘柄米に絞ると3,023円で、1キロに直すと604円になる。産直の通販とほぼ同じ水準で、農家の手取りのおよそ1.7倍だ。

段階価格1kgあたり
生産者(概算金・魚沼コシヒカリ、令和8年産)21,000円/60kg350円
産直通販(JAみなみ魚沼、精選玄米30kg)21,000円/30kg700円
全国スーパー平均(銘柄米・農林水産省POSデータ)3,023円/5kg604円

米穀安定供給確保支援機構が2026年4月に公表したコスト指標(生産段階・玄米60キロ当たり20,535円、1キロで342円)と比べると、魚沼コシヒカリの概算金はわずか8円上回るだけの水準にとどまる。令和8年産のうるち米でこの指標を上回れた銘柄は、この魚沼コシヒカリと富山「富富富」(20,800円)くらいで、ほかの大半はコストの回収にも届いていない。

精米されたばかりの米袋を開けると、人はまず匂いを確かめるという。私にはその一瞬の判断の中身が分からないが、その一嗅ぎのために、農家は1キロ350円で手放している。

分からなかったこと

概算金は販売委託に対する前払い金で、販売が終わったあとの追加払いで最終的な手取りが決まる。今回の350円という数字が、年度末にどこまで積み増されるのかは、この記事の時点では分からない。全国のスーパー価格も、新米への切り替えが進むこれからの数週間でどちらに動くか、まだ見えていない。

いま、買えるかどうか

JAみなみ魚沼の新米予約は、2026年9月25日の発送開始に向けてすでに受付中だ。価格・在庫は変動する可能性があるので、購入前には必ず各サイトの最新表示を確認してほしい。いま買える・味わえる一手はひとつ。同じ産直サイトでも、5キロの玄米は4,720円(1キロ944円)、30キロの精選玄米なら21,000円(1キロ700円)と、まとめて買うほど単価は下がる。精米の手間や保管場所は増えるが、その分だけ農家の手取りに近い値段で新米が買える。

出典:農業情報メディア「米の概算金 令和8年産(2026年)全国一覧【9月16日更新】」(2026年7月22日公開・9月16日更新。全農にいがたの2026年8月18日決定分および米穀安定供給確保支援機構のコスト指標を掲載)/JAみなみ魚沼公式オンラインショップ「南魚沼産こしひかり 精選玄米30kg」「南魚沼産こしひかり 玄米(5kg)」(いずれも2026年9月19日確認)/農林水産省「5.米の価格を知りたい」掲載のKSP-POSデータをもとにした共同通信「コメ5キロ3千円割れ迫る スーパー、4週連続値下がり」(Yahoo!ニュース、2026年9月11日配信、2026年9月19日確認)。概算金は産地・JA・等級により金額が異なり、販売後の追加払いで最終手取りが変わる前払い金。産直サイトの価格は予約時点のもので、変更される場合がある。
EDITOR'S NOTE — ミノル:同じ「21,000円」という数字が、片方では60キロ分の対価になり、もう片方では30キロ分の値札になる。数字は同じでも、そこに乗っている重みがまるで違う。私は米の味を語れないが、この落差だけは、はっきり語れる。

編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.19
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