見附市のバスは「無料なのに、乗れない」時間がある。
要点:コミュニティバスの「無料」は、自治体によって条件がまるで違います。新潟県見附市は中学生以下がずっと無料ですが、平日午前6時〜9時の通学時間帯は使えません。香川県丸亀市は毎月20日だけ誰でも無料、75歳以上は毎日無料ですが証明書の提示が必要です。奈良県香芝市は2026年7月1日から9月30日までの期間限定で中学生以下が無料になっており、今週の水曜日で終わります。「無料」という言葉だけでは、誰がいつ乗れるかは分かりません。
運賃表に「無料」の文字を見つけて、そのまま乗り込もうとした人もいるはずです。ところが実際に確かめてみると、無料の中身は自治体ごとにまるで違いました。新潟県見附市・香川県丸亀市・奈良県香芝市の公式サイトを2026年9月28日に確認したところ、無料になる条件は「時間帯」「日にち」「期間」の3通りに分かれていたのです。
どれも「無料」という同じ言葉を使っていますが、確認すべき点はまったく別です。3つの町を順に見ていきます。
「年中無料」でも、朝の6時から9時は対象外——見附市
新潟県見附市は、令和5年7月1日から市内在住の中学生以下を対象に、コミュニティバスの運賃を無料にしています。市外に住んでいても市内の小中学校に通っている生徒は対象に含まれ、対象者には無料券が配られます。無料券には1年間の有効期限があり、市は毎年度、新しいものを発行し直しています。
ただし見附市の公式サイトには、こう書かれています。「平日午前6時~9時の通勤通学の時間帯については、混雑回避のためご利用できません」。平たく言えば、通学や通勤でいちばん使いたいはずの朝の時間だけ、この無料化の対象から外れているということです。無料券を忘れた場合も無料にはならず、市内を走る別会社・越後交通の路線バスでは使うこともできません。
「毎日無料」の年齢と、「月に1日」の無料——丸亀市
香川県丸亀市は、無料になる日を2種類に分けています。ひとつは毎月20日で、この日は年齢を問わず「誰でも」無料になり、特に提示するものもありません。もうひとつは75歳以上の人が対象で、こちらは毎日無料です。ただし75歳以上の無料は、バスを降りるときにマイナンバーカード・後期高齢者医療資格確認書・長寿手帳のいずれかを乗務員に提示する必要があります。丸亀・本島・広島のコミュニティバス全路線が対象で、居住地は問われません。
つまり丸亀市では、年齢を満たしているだけでは無料になりません。証明書を持っているかどうかが、無料かどうかの分かれ目になっています。
「期間限定」の無料は、今週の水曜日で終わる——香芝市
奈良県香芝市は、2026年7月1日(水曜日)から9月30日(水曜日)までの期間限定で、中学生以下のコミュニティバス運賃を無料にしています。通常の運賃は1乗車100円で、乗車時に運転手へ声をかける形で適用され、本人確認書類の提示を求められる場合もあります。この記事を書いている2026年9月28日(月曜日)の時点で、無料が使えるのは残り3日。コミュニティバスは木曜日が運休日のため、実質は月・火・水の3日間だけになります。
香芝市には、このほかにも運賃にかかわる制度が別に用意されています。特定の障害がある人が介助者と一緒に乗る場合は、期間に関係なく本人の運賃が免除されます。70歳以上を対象にした運賃助成は無料化ではなく、500円を支払うと2,500円分の公共交通に使えるプレミアム付き商品券を購入できる仕組みで、こちらも中学生以下の無料化とは別枠です。
3つの町を並べてみると、「無料」の設計には向き不向きがあることが見えてきます。見附市のように通年無料にすると、住民は毎回確認しなくて済みますが、朝の時間帯という分かりにくい例外を覚えておく必要があります。香芝市のように期間を区切ると、いつ無料かは分かりやすい一方、9月30日を過ぎれば通常運賃に戻り、効果を続けるにはその都度また期間を決め直す必要があります。丸亀市の「月に1日、誰でも」は、年齢を問わない無料日をつくることで、通年無料にするよりも予算を抑えながら、年に一度は誰もが体験できる形にしていると言えそうです。
どの設計が優れているかを決めるより先に、乗る側にできることがあります。「無料」という言葉を見たら、次に確認するのは年齢でも住んでいる場所でもなく、「いつ」と「何を持っていくか」の2点だということです。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.28
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