名古屋の街なかを自動運転車が走り出します。来週から誰でも無料で乗れますが、車内でしてはいけないことがあります。
要点:愛知県とNTTドコモビジネスなど8者は2026年9月11日から、名古屋市都心部で自動運転車によるオンデマンド運行を始めます。5カ所の乗降地点を3台の車両が巡り、乗車は無料。予約はなごやMaaSアプリ「デライド」からです。ただし今回の運行は自動運転レベル2で、運転席にはセーフティドライバーが乗車しています。愛知県は利用者に「セーフティドライバーへの声掛けはお控えください」と呼びかけていて、そこには無人運行を想定した検証という理由があります。
名古屋駅前のロータリーに、来週から見慣れない車が並ぶようになります。トヨタのミニバンをベースにした車体には、地元の専門学校や大学の学生がデザインした、流れ星やつながるラインの模様が描かれています。愛知県とNTTドコモビジネスなど8者が9月11日に始める、名古屋市都心部での自動運転車のオンデマンド運行です。
「オンデマンド方式」というお役所言葉の中身
愛知県の発表資料は、運行方式を脚注でこう説明しています。「オンデマンド方式とは乗客の事前予約(乗降地、時間)に応じて、走行ルートを選び走行する方式」。平たく言うと、時刻表どおりに決まった道を走るバスとは逆に、乗りたい人の予約に合わせて、そのつどルートを組み立てて走る方式です。タクシーの配車アプリに近い動き方、とイメージすると分かりやすいと思います。
今回は乗降地点を昨年度の3カ所(STATION Ai・名古屋駅前のスパイラルタワーズ・愛知芸術文化センター)から、IGアリーナ前(名古屋造形大学)とFUJIなごや科学館を加えた5カ所に拡大し、車両も2台から3台に増やしました。5地点を結ぶルートは20通り、延べ約33kmにのぼります。
運行の中身
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運行期間 | 2026年9月11日(金)〜2027年3月19日(金) ※土日祝・年末年始(12月26日〜1月6日)を除く |
| 運行時間 | 午前10時〜午後5時(平日のみ) |
| 車両・方式 | 3台によるオンデマンド方式(1台貸切・定員5人まで、セーフティドライバーは含まない) |
| 乗降地点 | 名古屋駅前(スパイラルタワーズ)・STATION Ai・愛知芸術文化センター・IGアリーナ前(名古屋造形大学)・FUJIなごや科学館の5カ所 |
| 利用料金 | 無料 |
| 利用条件 | 中学生以上、または保護者同伴の小学生 |
| 予約方法 | なごやMaaSアプリ「デライド」から乗車日の31日前より予約可。8月25日正午に受付開始済み |
「無人」ではなく、レベル2
ここが今回いちばん確かめておきたいところです。愛知県の発表には、こう注記されています。「本事業における運行は自動運転レベル2です。車両走行時は、運転席にセーフティドライバーが乗車し、安全確認を行います」。つまり、運転席は空いていません。街なかで見かけても、無人のロボットタクシーが走っているわけではなく、人が座って安全を見ている状態です。
それなのに愛知県は、利用要件の欄でこう呼びかけています。「車内無人を想定したオペレーションの検証を実施するため、セーフティドライバーへの声掛けはお控えいただくようお願いします」。運転席に人はいるのに、話しかけないでほしいという注文です。理由は、いずれ運転席が本当に無人になる段階(レベル4)を見据え、乗客がタブレットの対話AIキャラクターだけを頼りに移動できるかどうかを、いまのうちから確かめておきたいからだと読めます。この対話AIキャラクターによる案内が実際に始まるのは、運行期間の後半、12月中旬ごろの予定です。
知事の一言と、8年分の積み重ね
8月25日には一般の予約受付に先立って試乗会が開かれ、愛知県の大村秀章知事も乗り込みました。テレビ愛知の報道によると、大村知事は「名古屋の都心部をぐるっと回るので、これはぜひできるだけ早く実用化したい」と話したといいます。愛知県は2016年度から自動運転の実証を積み重ねており、今回はその延長線上にあります。乗降地点を3カ所から5カ所へ、車両を2台から3台へと、規模を一歩ずつ広げてきた歩みが、その積み重ねの中身です。
続くかどうかは、まだ分からない
年々範囲を広げていること自体は、実証が行き詰まらずに続いている証拠と見てよさそうです。ただし、今回もあくまで「実証実験」であり、乗車は無料です。これがいつ、どんな形で商用化され、運賃がいくらになるのかについて、愛知県からの公表は確認できませんでした。知事の「早く実用化したい」という言葉と、採算の取れるサービスとして名古屋の街に定着するかどうかの間には、まだ距離があります。ここは今後の発表を待つほかありません。
乗ってみたい人がすることは一つです。なごやMaaSアプリ「デライド」の専用サイトから、乗車日の31日前以降に予約を入れる。それだけで、運行日の午前10時から午後5時の間、名古屋駅前を含む5カ所のどこからでも無料で呼び出せます。ただし乗ったあとにセーフティドライバーへ話しかけたくなっても、そこはぐっとこらえるのが、この実証への協力の仕方のようです。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.03
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