観光 — 2026.10.07 NO.133 / TSUGINOTE LOCAL

やどりきテラス、寄地区の「休養村」が初めて道の駅に。

古い木造建物の内部で、作業員たちが床板を外しながら改修工事を進めている場面

要点:神奈川県松田町の「やどりきテラス〜清流の里〜」(寄地区)が、2026年9月4日付けで国土交通省の道の駅に登録され、全国は1,234駅になりました。前身は1978年築の町営「寄自然休養村管理センター」で、老朽化した建物を木質化改修し、2026年5月にすでに営業を再開しています。宿泊・入浴・サウナ・BBQ場を備え、新松田駅からバスで約25分・590円、平日9〜17時は1乗車500円のオンデマンド交通も使えます。

山あいの集会所に、新しい木の匂いが満ちたのは今年の春でした。丹沢の南麓、中津川沿いの谷をさかのぼった先にその建物はあります。神奈川県松田町の寄(やどりき)地区にある「やどりきテラス〜清流の里〜」が、2026年9月4日付けで国土交通省の道の駅に登録されました。

48年ものの集会所が、道の駅という肩書きをもらった

国土交通省は9月4日、全国3施設を新たに道の駅として登録し、全国の道の駅は合計1,234駅になったと発表しました。関東地方整備局によると、今回の登録で関東管内に加わったのは「やどりきテラス〜清流の里〜」1施設のみで、神奈川県内では6番目の道の駅になります。

国土交通省の発表文には「地方創生・観光を加速する拠点への進化を目指す第3ステージの取組み」とあります。平たく言えば、道の駅はもう通り過ぎる人のための休憩所にとどまらず、地域をもり立てる拠点として国が位置づける段階に入った、という意味です。

前身は、昭和53年に建った自然休養村

やどりきテラスの前身は、1978年(昭和53年)に建設された「寄自然休養村管理センター」です。松田町の資料によれば、寄地区は少子高齢化による人口減少が著しく、町立幼稚園・小学校の存続が危ぶまれていることを受け、町は築47年を数えたこの施設を全面的にリニューアルしました。

改修では、町内の森林資源を生かした木質化のデザインを採用し、随所に木のぬくもりを感じられる造りにしたといいます。1階には売店や食事施設、入浴施設、2階には研修室と会議室を備え、屋外にはバレルサウナ2基と薪ボイラー、急速充電器付きの駐車場も新設されました。宿泊料金は一般5,300円(素泊まり)、スポーツ合宿団体は4,200円です。入浴は町内の大人500円、町外は1,000円となっています。隣接する「寄みやまグラウンド」の人工芝化や、新設テニスコートの整備も同じ改修の一部です。

町の資料は、この整備の狙いを「寄地区を訪れるスポーツ団体、観光客の受入環境を整え」「更なる交流人口の増加及び雇用を創出し、地域が活性化することで、若年層の定住人口増加を目指しています」と説明しています。平たく言えば、観光客や合宿客を呼び込むこと自体が目的ではなく、それを入り口にして地区に住み続ける若い世代を増やしたい、という意味です。

道の駅という肩書きは、営業再開のあとから来た

やどりきテラスが施設として営業を再開したのは、今年5月のことです。道の駅としての登録は、それから4か月あまり遅れて9月に決まりました。神奈川新聞の報道は、この案件を「平日の集客期待」という見出しで伝えています。道の駅という全国共通の看板がつくことで、連休や休日だけでなく平日にも人を呼べるかどうかが、この施設に問われている、ということでしょう。

町が公表した利用状況の資料では、施設の点検・改修にあたる期間、管理センターの利用者数の欄が空欄になっている月がありました。工事が明けたあとの実績は、これから積み上がっていく数字です。

行くには:バスは25分・590円、ただし減便の検討も

やどりきテラスへは、小田急線の新松田駅から富士急モビリティの路線バス「寄」行きに乗ります。町が公表する時刻表によれば、平日・土休日とも新松田駅〜寄間は所要25分、運賃は590円です(関東運輸局の認可により2023年7月1日、520円から改定)。

ただし、このバス路線には別の課題もあります。富士急モビリティが2025年9月25日に松田町地域公共交通会議へ提出した資料によると、同社は慢性的な運転士不足と「2024年問題」への対応を理由に、新松田駅〜寄線で平日夕方・土休日夕方それぞれ1便の減便を検討していると報告しています。資料には、同社湘南営業所の運転士が予算定員42人に対し39人にとどまっていることも記されています。この減便案が実際にいつから適用されているかは、2026年10月7日の時点で確認できていません。

2025年11月からは、平日9時〜17時に限り「松田町オンデマンド交通」も使えるようになりました。予約制で1乗車500円、寄地区を含む町内のランドマーク間を車で結びます。町の資料では、寄地区北部から新松田駅周辺までの所要時間の目安を「約43分」としており、これは路線バスより遠回りです。土日祝日は運行していないため、週末に向かうなら路線バスが頼りになります。


道の駅という看板は、国が認めた共通のものさしです。けれど、ものさしの上に乗ったからといって、人が来る保証にはなりません。寄地区に新しい肩書きがついた一方で、そこへ運ぶバスの運転士は足りていません。やどりきテラスが「目的地」として根づくかどうかは、看板よりも先に、谷あいの路線バスが今後も走り続けるかどうかにかかっているように見えます。

出典:国土交通省 関東地方整備局「関東『道の駅』新たに1箇所登録へ」https://www.ktr.mlit.go.jp/road/news/road_news00000054.html(2026年9月4日公表、2026年10月7日確認)/国土交通省「『道の駅』の第65回登録について〜全国で1,234駅に〜」https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_002138.html(令和8年9月4日、2026年10月7日確認)/松田町「やどりきテラス等(寄自然休養村管理センター、寄みやまグラウンド、寄テニスコート、新設駐車場)の施設概要」https://town.matsuda.kanagawa.jp/uploaded/attachment/19520.pdf(令和8年10月時点の資料、2026年10月7日確認)/神奈川新聞カナロコ「松田の『やどりきテラス』が道の駅に 寄自然休養村を改修 平日の集客期待」https://www.kanaloco.jp/news/life/article-1302082.html(2026年9月4日配信。有料記事のため見出しと要旨のみ確認、2026年10月7日確認)/松田町「路線バスのダイヤ改正について(新松田駅〜寄)」https://town.matsuda.kanagawa.jp/uploaded/attachment/15622.pdf(令和6年4月1日改正分、2026年10月7日確認)/関東運輸局「富士急湘南バス㈱の乗合バスの運賃変更について」https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000297606.pdf(令和5年6月15日、2026年10月7日確認)/富士急モビリティ株式会社「資料1」(松田町地域公共交通会議提出資料)https://town.matsuda.kanagawa.jp/uploaded/attachment/18582.pdf(令和7年9月25日付、2026年10月7日確認)/松田町「令和7年度 松田町オンデマンド交通 運行(案)」https://town.matsuda.kanagawa.jp/uploaded/attachment/18590.pdf(令和7年11月運行開始分、2026年10月7日確認)。減便の実施時期・現行の正式な時刻表は今後変更されうるため、訪問前に富士急モビリティまたは松田町政策推進課(0465-83-1222)への確認を推奨。
EDITOR'S NOTE — メグル:「平日の集客期待」という見出しを見て、ひっかかりました。道の駅の看板は、休日の行楽客を増やす仕組みとしてはよくできています。でも、そこへ運ぶ路線バスの運転士が足りないというニュースも、同じ松田町発でした。看板を立てる仕事と、足を確保する仕事は、役場の中でも別の部署が担っているはずです。この二つが噛み合っているかどうかを、次に確かめたいと思います。

編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.07
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