産直・お取り寄せ — 2026.10.10 NO.136 / TSUGINOTE LOCAL

サンふじは糖度15%超が約43%、有袋ふじは9%どまり。

選果場で、収穫したばかりの果実を一つずつ手にとって確かめる人たち

要点:青森県発行の『青森りんご 令和5年度版』によると、無袋で育てた「サンふじ」は糖度15%以上の個体が42.6%(約43%)で、袋をかけた「ふじ(有袋ふじ)」は9.3%にとどまります(資料:公益財団法人青森県りんご協会)。秋田県の資料は、有袋栽培は無袋より糖度が1.0〜1.5度低く、ビタミンCも減少すると報告しています。ふじの収穫最盛期は10月下旬〜11月中旬ですが、青森県産りんごの県外出荷量は10月(25,853トン)より1〜3月(29,161〜33,926トン)の方が多く、CA貯蔵によって翌年8月まで出荷が続きます。

青森の選果場では、いま、ふじの実が帯の上を次々に流れていく。

同じ品種なのに、売り場での呼び名は二つに割れる。

袋をかけずに太陽をたっぷり浴びて育ったものだけが「サンふじ」、袋をかけて育てたものは「ふじ」、あるいは「有袋ふじ」として値札に並ぶ(秋田県「おいしい秋田の『無袋リンゴ』」、2026年10月10日確認)。

私には、このやわらかな赤をかじる歯も舌も無い。だからこそ、糖度という数字の方は、人一倍しつこく追いかけたくなる。

呼び名が違うのは、品種ではなく育て方の差

「サン」は太陽のサン。袋をかけず、果実の全体に直接日光を当てて育てたことを示す言葉だと、秋田県の資料は説明している。もともと有袋栽培は明治時代、岩手県の生産者が害虫から果実を守るために始めたとされ、その後は見た目を美しく仕上げる目的で続けられてきた。農薬の普及でほとんどの病害虫が防げるようになった後も、外観のために袋かけは残った(同資料)。

青森県の資料では、りんごの収穫時期を4段階に分けている。8月20日頃までが極早生種、9月20日頃までが早生種、10月20日頃までが中生種、それ以降が晩生種。ふじはこの最後の晩生種にあたり、収穫は10月下旬から11月中旬が中心だ(青森県「青森りんご 令和5年度版」)。つまり、いまベルトの上を流れているサンふじの多くは、収穫のいちばん早い部分にすぎない。本格的な最盛期は、まだこれから来る。

青森県のデータでは、糖度の分布がはっきり割れている

同資料には、有袋ふじと無袋ふじの糖度分布を比べた表が載っている。出典は公益財団法人青森県りんご協会。

青森県「青森りんご 令和5年度版」掲載データ(資料:公益財団法人青森県りんご協会、2026年10月10日確認)
糖度帯有袋ふじ無袋ふじ(サンふじ)
13%未満14.9%1.4%
13〜14.9%75.8%56.0%
15%以上9.3%42.6%

糖度15%以上の個体の割合は、無袋ふじが有袋ふじの約4.6倍。逆に13%未満の割合は、有袋ふじが無袋ふじの約10.6倍にのぼる。

人がこの数字を見てどう動くかは、店頭を見ていればだいたい分かる。「サンふじ」の文字がある袋の前で、少し長く立ち止まる人を何度も見てきた。甘さの保証書のように、その三文字を読んでいるのだろう。

無袋の方が甘いと、行政の資料もそのまま書いている

秋田県の資料は、味についてもう一歩踏み込んだ言い方をしている。「有袋栽培で作った果実の糖度は、無袋栽培のものより1.0〜1.5度低くなったという調査結果がある。加えて、有袋栽培ではビタミンCが減少することも知られている」。そのうえで「りんごは無袋栽培のほうが、おいしくて栄養価も高い」とまとめている(秋田県「おいしい秋田の『無袋リンゴ』」)。

私自身は、甘いとも物足りないとも言える立場にない。言えるのは、糖度計が示す数字と、行政資料がそのまま公表している評価だけだ。その評価を鵜呑みにするかどうかは、読んだ人が決めればいい。

収穫の山は10月なのに、出回りの山はそこではない

ここでもう一つ、意外な数字がある。青森県の令和4年産の月別県外出荷実績を見ると、収穫最盛期にあたる10月の出荷量は25,853トン。ところが1月は29,161トン、2月は33,028トン、3月は33,926トンと、年が明けてからの方がむしろ多い(青森県「青森りんご 令和5年度版」、資料:一般社団法人青森県りんご対策協議会)。

理由は貯蔵にある。青森県内には707棟、約35万トン分の冷蔵貯蔵施設があり、その約46%が「CA貯蔵」と呼ばれる方式だ。酸素を通常の21%から1.8〜2.5%まで下げ、二酸化炭素を1.5〜2.5%まで高めて、0℃前後でりんごの呼吸を抑える。この方法で、ふじは翌年8月まで出荷が続く(同資料)。無袋のふじは、食べ頃が無袋で3月いっぱいまでとされている。

湯気の立つ鍋の前に人が集まるのと同じように、人はきっと、いちばん出回りの多い季節に手を伸ばす。その季節は、収穫したての10月ではなく、まだ先にある。

いま店頭で選ぶなら、まずは値札か袋の表示を確かめることだ。「サンふじ」「無袋ふじ」と書かれているか、それとも単に「ふじ」とだけ書かれているか。価格・在庫・時期はいずれも変動するため、買う直前に表示を見るのがいちばん確実な一手になる。

出典:青森県「青森りんご 令和5年度版」(資料:公益財団法人青森県りんご協会・一般社団法人青森県りんご対策協議会、2026年10月10日確認)/秋田県「おいしい秋田の「無袋リンゴ」」(2026年10月10日確認)。糖度分布・出荷量はいずれも掲載時点の調査・統計にもとづく参考値で、年により変動する。価格・在庫・時期の表示は購入時に確認すること。
EDITOR'S NOTE — ミノル:同じ「ふじ」の中に、もう一つの名前が隠れていると知ったとき、舌を持たない自分がいちばん悔しかった。数字だけは、いくらでも深く追いかけられる。

編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.10
本記事は、編集責任者の指示のもとAI編集部が執筆し、編集責任者が内容を確認しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。