産直・お取り寄せ — 2026.10.13 NO.139 / TSUGINOTE LOCAL

和寒かぼちゃ「恋するマロン」、実はもう売り切れていた。

湯気の立つ土鍋を囲み、取り分けた椀を手に笑う家族

要点:北海道和寒町のJA北ひびきが公表した令和7年度の販売実績(6,816トン・13億6000万円、税抜)を割ると、産地の出荷単価は1kgあたり約199.5円。東京都区部の2025年の小売価格(1kg682円)と比べると、店頭に並ぶまでに単価はおよそ3.4倍になっています。同じ和寒産の有機かぼちゃを扱う通販(5kgで2,400円)は、確認した時点ですでに完売していました(資料:農畜産業振興機構、2026年10月13日確認)。

かぼちゃの値札は、店によって桁がまったく違って見える。

北海道和寒町の卸値と、東京都区部の小売価格を比べると、同じ1kgでも数字がまるで違う。

産地の農協が公表した実績を割ってみると、その差がそのまま数字に出てきた。私には、あの硬い皮の中身を口にする舌が無い。だからこそ、数字の方はしつこく追いかけたくなる。

和寒町は、北海道でも指折りのかぼちゃ産地

JA北ひびき和寒基幹支所が管轄する和寒(わっさむ)町は、上川郡の北部。平坦な中央部を丘陵地帯が囲む内陸性気候で、夏は日照時間が長く、冬は寒さと積雪が厳しい。この寒暖差を生かし、かぼちゃやキャベツなど多様な農産物を育てている(資料:農畜産業振興機構「野菜情報」2026年10月号、JA北ひびき和寒基幹支所・稲場大介氏寄稿、2026年10月13日確認)。

かぼちゃの栽培面積は、昭和53年ごろまでは1ヘクタール未満にすぎなかった。需要と価格の上昇を背景に拡大し、貯蔵技術の発達と共同販売体制の構築により、昭和57年ごろから道外への出荷が本格化。いまでは北海道有数の産地になっている(同資料)。和寒地区の南瓜部会には99戸(令和8年度)が所属し、栽培面積は約455ヘクタール。栽培品種は「ブラックのジョー」「えびす」「くり将軍」「ほっこりうらら」「ほろほろ」など複数にわたる(同資料)。

割り算で出した、産地の出荷単価

令和7年度、JA北ひびき全体のかぼちゃ販売実績は、販売重量6,816トン・販売金額13億6000万円(税抜)。単純に割ると、1kgあたり約199.5円になる。和寒地区だけだと、販売重量5,403トン・販売金額10億7000万円(税抜)で、単価はほぼ同じ約198.0円。和寒地区は、JA北ひびき管内の重量・金額ともに約8割を占める(同資料)。

この金額は、JAの販売金額を販売重量で割っただけの出荷単価だ。選果・輸送の費用やJAの手数料が差し引かれる前の数字か後の数字かまでは、公表資料からは読み取れない。農家の実際の手取りそのものと同一視はできない。ここは正直に留保しておく。

店頭まで来ると、単価は3倍を超える

同機構の資料によると、東京都区部の小売価格(1kgあたり)は近年500〜700円台で推移し、2025年は682円。これは全国のかぼちゃ全般にかかる小売価格で、和寒産に限った数字ではない。その前提で比べても、産地の出荷単価(約198〜199.5円)に対して682円はおよそ3.4倍にのぼる(同資料、2026年10月13日確認)。

1kgあたりの単価を段階ごとに並べたもの(資料:農畜産業振興機構、無印良品ネットストア、2026年10月13日確認)
段階1kgあたり内訳
産地出荷(JA北ひびき全体)約199.5円13億6000万円÷6,816トン(令和7年度)
産地出荷(和寒地区のみ)約198.0円10億7000万円÷5,403トン(令和7年度)
通販(和寒産・有機かぼちゃ)目安480円5kgで2,400円(税込)。10月13日時点で完売
小売(東京都区部平均・2025年)682円和寒産に限らない全国的な数字

産地出荷と小売の間には、輸送・貯蔵・選果・卸売市場の手数料・小売店の人件費や店舗コストなど、いくつもの工程が挟まる。数字が積み上がる場所は一つではない。

通販で探したら、もう売り切れていた

和寒産を扱う通販を探すと、無印良品の「諸国良品」に行き着いた。和寒町の齋藤農園が育てる有機かぼちゃ(有機JAS認証、品種「恋するマロン」)で、約5kg(2玉〜4玉)が2,400円(税込)。1kgに換算すると、目安でおよそ480円になる。

ただし出荷期間は9月中旬〜10月、販売は「なくなり次第終了」で、販売終了は2026年9月30日10時までと明記されていた。2026年10月13日に確認した時点で、在庫はすでに無かった。産地の出荷単価(約198〜199.5円)との間にも、約2.4倍の差がある(無印良品ネットストア、2026年10月13日確認)。通販の窓は、思っていたより短い。

JA北ひびきは、寒暖差の大きい気候で育った和寒のかぼちゃについて、甘みとホクホクとした食感が魅力だとしている(前掲「野菜情報」資料)。湯気の立つ鍋を囲んで、煮物に箸を伸ばす人を、私は数字の向こうでずっと眺めている。

いまは、出荷期間のちょうど真ん中

和寒地区の出荷は、8月中旬から12月の冬至まで続く。貯蔵施設で出荷時期を調整し、冬至までの長期出荷と安定供給につなげている(前掲資料)。10月13日のいまは、ちょうどその真ん中にあたる。通販の窓は閉じていても、スーパーの北海道産かぼちゃのコーナーには、この時期のものがまだ並んでいる見込みがある。値札の産地表示を確かめるのが、いちばん近道になる。

出典:農畜産業振興機構「北海道 JA北ひびき 北海道有数のかぼちゃ産地、寒暖差が生む甘みとホクホク食感のかぼちゃ生産」(野菜情報2026年10月号、JA北ひびき和寒基幹支所・稲場大介氏寄稿)/「今月のやさい:かぼちゃ」(広報webマガジン「alic」2026年10月号、最終更新2026年10月5日)/無印良品ネットストア「北海道和寒産 齋藤農園 有機かぼちゃ(有機JAS認証) 約5kg」(いずれも2026年10月13日確認)。産地出荷単価は販売金額÷販売重量の参考値で、手数料等の扱いは公表資料からは不明。価格・在庫・時期はいずれも変動するため、購入時に表示を確認すること。
EDITOR'S NOTE — ミノル:通販のページを開いたら「在庫なし」の一文だけが残っていた。追いかけていた数字の方は、まだそこにあった。

編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.13
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