ペットは避難所へ連れて行けます
置かれる場所まで書いていたのは20市のうち4市で、うち3市は屋外でした。
要点:2026年8月24日に政令指定都市20市の飼い主向けページを1枚ずつ開き、4点を数えました。「連れて行ける」と読み取れたのは16市。人と別の場所になる旨はほとんどの市が書いています。ただしその場所が屋内か屋外かまで書いていたのは4市で、うち3市は屋外(岡山市・広島市・名古屋市)、屋内と書いたのは堺市の1市でした。ケージに日よけと防寒が要るかどうかは、この一行で変わります。同伴避難ができる専用の避難所に触れていたのは3市。防災週間は8月30日から9月5日です。
「連れて行けます」の、その先
9月1日は防災の日で、その前後の8月30日から9月5日までが防災週間です。この一週間に持ち出し袋を開ける人は多いでしょう。犬や猫と暮らしていれば、フードと水とペットシーツの残りを確かめるはずです。
その袋に日よけの布と防寒の1枚を足すべきかどうかは、避難所でペットが置かれる場所で決まります。体育館の中なのか、軒下や渡り廊下なのかで、夏の日差しと蚊、冬の夜の冷えへの備えが要るか要らないかが変わります。そこで政令指定都市20市の公式サイトを1枚ずつ開き、どこまで書いてあるかを数えました。
数え方
2026年8月24日、20市それぞれの公式ドメインに限って「ペット 同行避難 避難所 ケージ +市名」で検索し、上位に出た飼い主向けの案内ページを1枚だけ開きました。PDFの中は読んでいません。判定は次の4点です。
- ペットを連れて避難所へ行けると書いてあるか
- 人の居住スペースとは別になる旨が書いてあるか
- 置かれる場所が屋内か屋外かが書いてあるか(「屋外」「屋根のある屋外」「屋内」「軒下」「渡り廊下」のような具体語があるか。「人と別」だけで屋内外が読み取れないものは「書いていない」に入れました)
- 受け入れの可否やルールを決めるのは市なのか、避難所ごとなのか
ページに表示されている更新日も控えました。
出た結果
| 数えた項目 | 書いてあった市 |
|---|---|
| 連れて行けると読み取れた | 16市(書いていないのは札幌市・浜松市・京都市・熊本市) |
| 置かれる場所が屋内か屋外か | 4市(屋外=岡山市・広島市・名古屋市/屋内=堺市) |
| 市内で原則そろえていると読める | 5市(川崎市・名古屋市・堺市・岡山市・広島市) |
| 避難所ごと・地域・窓口に委ねている | 10市 |
| 決め手が書かれていない | 5市(札幌市・仙台市・さいたま市・浜松市・熊本市) |
人と同じ部屋にはならない、という点はほとんどの市が書いていました。大阪市は「避難所では人とペットは別の場所で生活し」と明快です。ただ、その「別の場所」が屋根の下なのかは読み取れません。
屋外と書いた3市が、書いていること
岡山市(更新日2026年5月18日)は、こう書いています。
ペット避難スペースは屋外で、避難所内の居住スペースにまでペットを連れて入ることはできません
屋外です、と言い切っています。同じページには電源が必要な動物を受け入れられないことも書かれ、理由は「ペット避難スペースで電源の確保は困難であるため」。屋外だという一点が、受け入れられる動物の範囲まで決めています。
広島市(2025年2月16日)は、もう一段細かい。
ペットの飼育場所は、室内ではなく、屋根のある屋外が基本であり
屋外だが雨はしのげる場所、という意味です。同市は「避難所滞在者全員の同意がある場合には、屋内に同行滞在することも可能です」とも書いています。原則は屋外、その場の全員が同意すれば屋内、という二段の構えです。
名古屋市(2026年4月1日)は、屋外という語を使わずに場所を並べます。「避難者の生活場所とは別の場所で、軒下、自転車置き場、テントなど雨風をしのげる場所」。挙がっているのはすべて建物の外です。「屋外」と書かずに屋外を示す書き方で、読む側にはかえって具体的に伝わります。
屋内と書いた1市の、表の中身
堺市の「各指定避難所のペット飼育スペース」(2025年8月7日)は、冒頭に「各指定避難所にはペット同行避難・同伴避難における屋内のペット飼育スペースを下表のとおり設けています」とあります。屋内、と明記した唯一の市です。そして下表が長い。7区に分けて学校名・住所・飼育スペースの3列で、162施設。ここまで公開している市は、ほかにありませんでした。
ただ、その「飼育スペース」の欄に並ぶのは施設ごとの具体的な場所です。「東館 軒下(作業室及び倉庫の間部)」「本館特別教室棟 渡り廊下 下部」、市立堺高校には「屋外自転車置き場」。庇下、ピロティ部、体育倉庫、プールもあります。多くの施設では通常の災害時と大規模災害時で場所が変わり、4施設は「調整中」です。
冒頭の「屋内」と、表の「軒下」「屋外自転車置き場」は、日常の言葉としては重なりません。おそらく「屋内」は建物の中ではなく、敷地の中の屋根や庇の下を指して使われているのだと読めます。断定はできませんが、飼い主が確かめるべきなのは冒頭の一語ではなく、自分が行く学校の行に書かれた場所の名前です。
決めるのは市か、避難所か
屋内外が書かれていない16市のうち、10市は決め手を避難所の側に置いていました。千葉市は「人の居住スペースとは分けて管理します」と書いたすぐ後に、かっこ付きで「(ただし、避難所ごとの判断により異なります。)」と添えます。市としての原則はある、けれども現場で変わりうる、という意味です。静岡市(2026年3月13日)はもっと直接的です。
避難所の運営は自治会が行うため、受け入れられない避難所もありますので、同行避難が受付できるかを、お住まいの自治会(町内会等)にお尋ねください
京都市(2026年3月27日)も同じ構えで、避難所は「避難所ごとの運営のルールに基づき、地域住民自ら開設、運営する」ものとし、ペットの受け入れも「地域住民の合意に基づき」定めるとしています。避難所を地域が開けて回す仕組みの市では、ペットの扱いも地域が決めるという筋です。大阪市と福岡市は各区役所へ、横浜市は「一時飼育場所」の設置場所を各地域防災拠点が事前に決めるものとしています。
逆に、受け入れそのものは市でそろえていると読める市もありました。川崎市(2026年7月31日)の「原則すべての避難所で、ペットの同行避難が可能です」、広島市の「原則、すべての避難所へペットを連れて避難することができます」。岡山市と名古屋市は市立小・中学校で線を引きます。ただし広島市は、飼育場所は「お住まいの区役所地域起こし推進課にご確認ください」と付けています。入れるかどうかは市が決め、どこに置くかは区が知っている、という分かれ方です。
同じ部屋で過ごせる避難所は、まだ数えられる数
ペットと同じ空間で寝泊まりできる避難所、つまり同伴避難に触れていたのは3市でした。北九州市(2025年4月3日)は「到津の森公園 子どもホール」の1か所を挙げ、パーテーションで区画を用意するとしています。ただし直接そこへは行けません。警戒レベル3以上が出て予定避難所が開いた後、避難生活が長期化する場合などに開く二次的な避難所で、移動は飼い主が自分で行います。
福岡市は試行として2か所。東部動物愛護管理センターが4世帯まで、家庭動物啓発センターが6世帯までで、事前予約が要ります。合わせて10世帯は、政令指定都市の規模に対しては小さい。ただ、試行と明記した上で受入世帯数まで公開している市は、ほかにありませんでした。
更新日は、6年ぶん開いていた
20市のページの更新日は、最も新しい新潟市が2026年8月17日、最も古いさいたま市が2020年9月1日で、約6年の開きがありました。1年以内に更新されていたのは12市。ただ、古いから内容が誤っているという話ではありません。さいたま市のページは地域防災計画で同行避難を前提と定めた経緯を説明し、「避難所におけるペット対応マニュアル」へのリンクを置いています。方針としては筋が通っています。飼い主がスマートフォンで数十秒で答えを得たいときに、PDFを1本開かせる設計が防災週間に合っているかどうかは、別の問題です。
分からなかったこと
PDFの中は読んでいません。さいたま市・浜松市・静岡市は実体をPDFやマニュアルに置いていました。ですからこの「4市」は、市の備えが手厚いか薄いかを示す数ではなく、PDFを開かずにページ1枚で分かるかという数です。
屋内外を書いていない16市が、実際にペットを屋内に入れないのかも分かりません。書いていないことは、決めていないこととは違います。避難所ごとに決めている市では、そもそも市のページに一律の答えを書けません。
検索の上位に出たページを1枚だけ開く方式なので、市内に別のもっと詳しいページがある可能性は消せません。堺市では飼い主向けの解説ページと避難所別の一覧ページが別に存在し、今回開いたのは後者です。この制約のぶん、数は実態より少なめに出ていると考えるのが妥当です。
今週やっておくこと
持ち帰りは1つだけにします。防災週間のうちに、自分の市の「ペットの災害対策」のページを開いて、置かれる場所が屋根の下かどうかを探してください。見つからなければ、日よけになる布と夜の冷え対策の1枚を持ち出し袋に足すのが安全側の判断です。ケージを覆うものは、目隠しとしても働きます。
この数字が来年どうなるかは、更新日を見れば確かめられます。堺市の162行のように市が施設ごとの場所まで出す形が広がるのか、避難所ごとに委ねる形のまま留まるのか。続くか、真似できるかを測るには、同じ4点を同じ手順でもう一度数えれば足ります。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.24
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