10月から、時給の底がまた上がります
上げ幅の目安がいちばん小さいのは、東京など6つの都府県です。
要点:中央最低賃金審議会は2026年7月28日、令和8年度の地域別最低賃金の引き上げ目安を答申しました。埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪のAランク6都府県が54円、残る41道府県(Bランク28・Cランク13)が56円で、目安どおりなら全国加重平均は現在の1,121円から1,176円になります。8月に入って各県の審議会の答申が始まっており、宮城は目安を4円上回る60円増の1,098円、三重は目安どおり56円増の1,143円をそれぞれ8月5日に答申しました。発効はどちらも10月1日の予定です。ただし正式な決定はこれからで、額も発効日も、最後は県ごとに決まります。
7月28日に出たのは「目安」で、まだ決定ではありません
毎年この時期になると「最低賃金が上がる」という見出しが並びますが、7月28日に出た数字の正確な名前は「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安」です。厚生労働大臣の諮問を受けた中央最低賃金審議会が、6月26日に小委員会を設け、6回の審議を重ねてまとめました。
目安は全国一律ではありません。都道府県の経済実態に応じて全都道府県をA・B・Cの3つのランクに分け、ランクごとに引き上げ額を示す形をとっています。今年の目安はこうなりました。
| ランク | 都道府県 | 引き上げ目安 |
|---|---|---|
| A(6都府県) | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 | 54円 |
| B(28道府県) | 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡 | 56円 |
| C(13県) | 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 | 56円 |
見てのとおり、時給の水準がもっとも高い東京や神奈川を含むAランクの目安が54円で、BとCの56円より2円小さい。目安どおりに引き上げが行われれば、都市部と地方の差はわずかに縮まる方向の配分です。厚生労働省の発表資料は、こう書いています。
仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,176円となります。この場合、全国加重平均の上昇額は55円(昨年度は66円)となります。また、引上げ率に換算すると4.9%(昨年度は6.3%)となります。
——厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」(2026年7月28日)
上げ幅そのものは、昨年度の66円より11円小さい水準です。「また大幅に上がる」と「昨年よりは減速する」は、今年に関してはどちらも正しい言い方になります。
ここから47回、同じ議論が繰り返されます
目安が出ても、それで金額が決まるわけではありません。ここからは各都道府県に置かれた地方最低賃金審議会が、目安を参考にしつつ、地域の賃金実態調査や参考人の意見を踏まえて審議し、答申を出します。それを受けて、最終的に地域別最低賃金額を決定するのは各都道府県労働局長です。つまり同じ構図の議論が、47の県で1回ずつ行われます。
目安はあくまで参考なので、地方の審議会がそれと違う額を答申することもできます。実際、今年もそれが起きています。
宮城は4円積み、三重は目安どおりでした
8月5日、宮城と三重の審議会がそれぞれ答申を出しました。並べてみます。
宮城地方最低賃金審議会は、宮城県最低賃金を現在の1,038円から60円引き上げて1,098円とする答申を宮城労働局長に行いました。引き上げ率は5.78%。宮城はBランクなので目安は56円です。それに4円を積んだことになります。発効予定日は10月1日です。
三重地方最低賃金審議会は、三重県最低賃金を現在の1,087円から56円引き上げて1,143円とする答申を三重労働局長に行いました。引き上げ率は5.15%で、こちらは目安どおりの額です。発効日も同じく10月1日とする内容でした。
両県の資料には過去の推移も載っています。宮城は令和5年度に40円、令和6年度に50円、令和7年度に65円。三重は令和5年度に40円、令和6年度に50円、令和7年度に64円。この3年、どちらの県も上げ幅を毎年10円以上ずつ広げてきて、今年の答申はその伸びが初めて小さくなる年にあたります。
私が一次資料で確かめられた答申はこの2県ですが、地方の審議会の答申は8月上旬から各県で順次出ている段階です。お住まいの県の額は、各労働局の発表で確認できます。
時給が上がる側と、払う側と
最低賃金の記事は、働く人の側から書かれることが多いのですが、答申の資料を読むと、労働局が同じ紙面でもう一方の当事者にも呼びかけていることが分かります。宮城労働局は答申の発表にあわせて、事業主が発効予定日に向けて賃金を引き上げられるよう、業務改善助成金など国の「賃上げ」支援策のリーフレットを添えています。設備投資とあわせて事業場内の最低賃金を引き上げた中小企業に費用の一部を助成する、といった内容です。
時給1,098円は、フルタイムに近い月160時間で働くとおよそ17万5千円です。底が上がることの意味は働く人には分かりやすい一方、その原資を毎月用意するのは地域の事業者で、答申の紙の後ろ半分が支援策の案内になっているのは、その両方を見ている審議会と労働局の立ち位置がそのまま出ているのだと思います。
「10月1日から全国一斉」ではありません
最後に、時期の話です。宮城も三重も発効予定日は10月1日ですが、これも県ごとに決まるもので、全国一斉ではありません。宮城の資料にある推移表を見ると、令和7年度の宮城の発効日は10月4日でした。答申のあとには異議申出の公示などの手続きが残っており、それを経て労働局長が正式に決定します。
ですから、いま言える確かなことは3つです。目安はAランク54円・BとCランク56円で出たこと。答申が出た県では10月1日発効の予定が示されていること。そして、自分の県がいつから・いくらになるかの最終的な答えは、県の労働局の決定を待つ必要があること。求人の時給やパートの契約を見直す予定がある方は、9月に入ったら自分の県の労働局の発表を一度見ておくと、10月に慌てずに済みます。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.21
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。