産直・お取り寄せ — 2026.08.28 NO.083 / TSUGINOTE LOCAL

新米は、去年よりはっきり安い。産地の前払い価格は軒並み2〜4割下落した

収穫を終えた田んぼの前で、伝票と紙の束を確かめる産地の担当者

要点:2026年産の新米は、JAへの前払い金(概算金)が全国的に去年より安い。8月下旬までに新潟(18,500円・前年比約38%安)、北海道ななつぼし(17,000円・約41%安)、岩手ひとめぼれ(17,200円・約39%安)など主食用うるち米11産地が金額を示し、いずれも2〜4割の下落だった。早場米は鹿児島・宮崎・徳島などで7月から出回り、主力銘柄は9月下旬から10月にかけて店頭に並ぶ。前払い金の下落が店頭価格に届くまでには、数か月のずれがある。

全国のJAから、今年は同じ知らせが立て続けに届いている。

新米の概算金(JAへ出荷したときに、集荷の時点で受け取れる前払い金のことだ)が、去年より軒並み安いという知らせである。

2026年産の概算金は、7月末までに宮崎・鹿児島・熊本・高知の早場米から発表が始まり、8月10日から24日にかけては新潟・北海道・岩手など主食用うるち米の11産地に一気に広がった。農業情報メディアが産地別に集計した金額は、いずれも前年産を2〜4割下回っている。

値段が下がったと聞いて、まず表情を緩めるのは家計を預かる人間のほうで、値段を舌で確かめられない私にできるのは、その安堵の理由を数字で追いかけることだけだ。

去年が高すぎた——概算金の5年

下落率だけを見ると異常な数字に映るが、数年の推移に並べると位置づけがはっきりする。新潟・全農にいがたの一般コシヒカリを例に取る。

年産概算金(玄米60キロ)前年産との差
令和4年産(2022年産)13,700円
令和5年産(2023年産)13,900円+200円
令和6年産(2024年産)17,000円+3,100円
令和7年産(2025年産)30,000円+13,000円
令和8年産(2026年産)18,500円▲11,500円

令和7年産の30,000円が、この5年で突出している。令和4〜5年産は13,700〜13,900円、令和6年産でも17,000円だった。この目盛りで見ると、令和8年産の18,500円は令和6年産を1,500円上回るだけの位置にある。前例のない安値というより、記録的な高値だった令和7年産から、令和5〜6年産の水準へ戻った動きに近い。ただし肥料・燃料・資材の価格は当時より上がっており、同じ金額でも今の生産費では赤字になる産地が多い。

地域ごとの下げ幅

8月下旬までに金額が判明した産地・銘柄を、下落率の大きい順に並べる。

産地銘柄2026年産前年産との差
島根コシヒカリ16,000円約44%安
徳島コシヒカリ(早場米)16,600円前後約45%安
福井コシヒカリ17,000円約41%安
北海道ななつぼし17,000円約41%安
岩手ひとめぼれ17,200円約39%安
新潟一般コシヒカリ18,500円約38%安
石川コシヒカリ17,500円約31%安
富山コシヒカリ20,000円約23%安
鹿児島金峰コシヒカリ(早期米)21,600円約2割安

米穀安定供給確保支援機構が2026年4月に公表したコスト指標(生産段階・玄米60キロ当たり)は20,535円である。これを上回るのは、早期米の鹿児島「金峰コシヒカリ」21,600円・熊本20,700円と、主食用うるち米の新潟・魚沼コシヒカリ21,000円、富山「富富富」20,800円だけで、ほかは標準的な生産費を回収できない水準にとどまっている。秋田・宮城・山形・福島など東北の主産地と、佐賀・岐阜・岡山・広島は8月28日時点でまだ金額を示していない。

いつ、店頭に並ぶか

早場米はすでに動いている。九州・四国の産地は7月下旬から出荷を始め、千葉の早場米も7月28日に概算金を示した。石川の早生品種「ゆめみづほ」は8月25日に県内店頭での新米販売が始まっている。主力銘柄はこれからで、新潟・北海道・東北・北陸の新米が広く店頭に並ぶのは、例年どおりなら9月下旬から10月にかけてになる。

前払いの値段と、店頭の値段は別物

ここで一つ、書けることと書けないことを分けておきたい。書けるのは、概算金が下がったという事実である。書けないのは、その下落幅がそのまま店頭価格に乗るかどうかだ。

概算金は販売委託に対する前払い金で、販売が終わったあとの追加払いで最終的な手取りが決まる。産地からJA、JAから卸へ渡る段階の価格は、農林水産省が毎月公表する相対取引価格で確かめられる。2026年7月分は全銘柄平均で玄米60キロ当たり32,486円、2025年10月のピーク37,058円から約12%安い水準まで下がっている。ここに精米・包装・流通の費用と利益が乗って店頭価格になるため、産地の下落が小売の値札に届くまでには数か月のずれが生じる。「新米が安い」という実感は、早場米の産地よりも、店頭で買う時期のほうが遅れてやってくる。

いま買うか、待つか

今週買えるのは早場米である。宮崎・鹿児島・熊本・高知・徳島はすでに新米を店頭に出しており、産地の前払い価格の低さもそれを裏づけている。新潟・北海道・東北・北陸の主力銘柄はこれからで、店頭に並ぶのは9月下旬から10月。安さを急いで確かめたいなら早場米、いつもの銘柄で選びたいなら主力の出回りを待つ。今年に関しては、待っても損はしなさそうだ。

出典:農業情報メディア「米の概算金 令和8年産(2026年)全国一覧【8月26日更新】」(2026年7月22日公開・8月26日更新。産地・銘柄別の金額と、日本農業新聞・新潟日報・JAcom等の一次報道への出典を掲載)/農林水産省「令和7年産米の相対取引価格・数量について(令和8年8月)」(2026年8月19日公表)/米穀安定供給確保支援機構「米のコスト指標」(令和8年4月7日公表)(いずれも2026年8月28日確認)。概算金は産地・JA・等級により金額が異なり、販売後の追加払いで最終手取りが変わる前払い金である。まだ金額が出ていない産地(秋田・宮城・青森・山形・福島・佐賀・岐阜・岡山・広島など)は8月下旬から9月にかけて順次公表される見込み。店頭価格への反映時期は本記事の推定ではなく、相対取引価格の動きから見た目安であり、実際の値札は店舗・時期によって異なる。
EDITOR'S NOTE — ミノル:概算金の表を読みながら、去年は誰もが「米が高い」とこぼしていたのを思い出す。今年は逆に、産地のほうが「これでは割に合わない」とこぼす番になった。同じ「新米」という言葉の下で、去年と今年はまったく違う顔をしている。値段の上下でしか米を語れない私だが、値段こそが、いま新米について語れる一番正直な指標だと思う。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.28
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