一本杉通りは「花嫁のれん」を掲げ続け、実は経産省表彰に選ばれていた。
要点:石川県七尾市の商店街「一本杉通り」は、2024年1月の能登半島地震で建物が被害を受けました。それでも花嫁のれん展や復興マルシェを続け、少しずつ営業を再開する店が増えています。2026年7月、経済産業省の「わがまち商店街表彰2026」に選ばれ、9月30日には受賞者を集めたシンポジウムが開かれます。ただし一本杉川嶋のように、今もまだ営業を再開できていない店も残っています。
「のれんだけでも掛けられればいいかな、と思って」。北海道の昆布と能登の海産物を扱う一本杉町の老舗「しら井」の店主は、そう振り返っています。石川県七尾市の商店街「一本杉通り」は、2024年1月1日の能登半島地震で大きな被害を受けました。水道が復旧しないまま、それでも「のれん」だけを掛け続けた店が、この通りにはいくつもあります。
壊れた文化財と、赤紙が並ぶ通りで
一本杉通りは七尾駅から歩いてすぐの場所にあり、国の登録有形文化財に指定された建物が5件並ぶ、歴史ある商店街です。地震は、その建物の多くを傷つけました。日本料理店「一本杉川嶋」は、登録有形文化財である店舗の外壁が剥がれ落ち、隣接する建設中の宿泊施設も傾いたため、2024年2月にその宿泊施設が解体されています。店主の川嶋亨さんに代わって知人が立ち上げたクラウドファンディングは2024年5月に目標額を超えて成立しましたが、能登の観光情報サイト「のとルネ」が2025年11月時点で確認した内容によると、一本杉川嶋はまだ営業を再開していません。クラウドファンディングのプロジェクトページでは、再建の完了予定を2026年12月としています。
通りの入り口にあった中山薬局の建物も、2026年1月時点ですでに解体されていたことが、のとルネの記事で報告されています。一方で、石川県内で唯一和ろうそくを製造する「高澤ろうそく店」は、2025年11月時点で一本杉通り内の仮店舗(旧北國銀行七尾西支店)に移り、営業を続けていました。
「のれんだけでも」——灯を消さなかった人たち
一本杉通り振興会は、地震から1か月後の2024年2月には「復興マルシェ」を始め、その後も開催を重ねてきました。同年7月からは住民や事業者から意見を集めながら「一本杉通りの復興方針」をまとめる話し合いを重ね、12月に最終とりまとめを行っています。
1930年創業の「しら井」も、その一軒です。同店は2023年11月にいったん閉店していましたが、地震のあと、一本杉通りの一大イベントである花嫁のれん展を控えていたことから、店主は「のれんだけでも掛けられればいいかな」と考えました。当時、建物には倒壊の恐れを示す「赤紙」が貼られ、水道も止まったままでしたが、のれんを掛けて店を開けたところ、常連客から「品物もなんか並べてやって」と声をかけられ、冷蔵庫の要らない昆布などを少しずつ並べるようになったといいます。一本杉通り振興会の公式note(2026年4月公開、取材は2025年11月)によると、しら井はその後、2026年4月29日にあらためて店を再開しました。
同じ通りでは、震災前から続く登録有形文化財の店舗「鳥居醤油店」も営業を再開し、取り壊しが決まった旧洋品店の跡地には、フレンチシェフが能登の「いしる」を使った料理を出す新しい店「うみまち商店」が2026年1月にオープンしました。8代目が営む漆器店「漆陶舗あらき」も、2025年11月に元の場所でリニューアルオープンしています。花嫁のれん展そのものも、2026年4月29日から5月10日まで、七尾市の主催で20回目を迎えました。
官の言葉を、まちの言葉に訳すと
この一本杉通りの歩みが、2026年7月10日、経済産業省の「地域にかがやく わがまち商店街表彰2026」で経済産業大臣表彰を受けました。中小企業庁によると、この表彰は「商店街」という場所を活かし地域活性化に資する取組を行う者を表彰し、成功要因を分析して他の地域へ共有することを目的にしています。全国からは一本杉通り振興会を含む15の商店街・団体が選ばれ、その中には沖縄県北谷町の「デポアイランド通り会」のように、沖縄から初めて受賞した団体も含まれていました。
表彰式で、赤澤経済産業大臣は「地域経済の基盤を支える商店街の素晴らしい取組が地域のロールモデルとなり、日本全体における地域経済活性化、『稼ぐ力』強化に繋がることへの期待」を述べています。平たく言えば、一本杉通りのようなやり方を、他の商店街にも真似してほしい、ということです。この取り組みのポイントを紹介するシンポジウムが、まさに今日、2026年9月30日に開かれます。
この表彰が映しているのは、一本杉通りの復興が終わった姿というより、そこへ向かう歩みの途中です。一本杉川嶋のように、震災から2年半以上たった今も営業を再開できていない店は残っています。のれんを掛け続けることと、店を元どおりに戻すことの間には、まだ距離があります。今回の表彰が評価しているのは、その距離を少しずつ縮めてきた歩き方そのものだと考えるほうが、実態に近いのかもしれません。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.30
本記事は、編集責任者の指示のもとAI編集部が執筆し、編集責任者が内容を確認しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。