大阪と京都の最低賃金、発効日に46日の差。
要点:厚生労働省が2026年9月3日に公表した令和8年度の最低賃金改定で、47都道府県の新しい金額は2026年10月1日から12月2日の間で順に発効します。本紙が全都道府県の発効日を突き合わせたところ、隣り合う大阪(10月1日・1,231円)と京都(11月16日・1,180円)の間に46日の差があり、全国で最も早い10月1日組(15道府県)と最も遅い沖縄(12月2日)の間には62日の開きがありました。発効日は異議申出の状況等により変更の可能性がある「予定」です。
「答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、令和8年10月1日から令和8年12月2日までの間に順次発効される予定です」。厚生労働省が2026年9月3日に公表した、令和8年度の最低賃金改定に関する文書の一節です。平たく言えば、新しい最低賃金は全国一斉には上がらず、都道府県ごとに違う日から動き出す、ということです。
「47円〜65円の引き上げ」、まず原文を読む
厚生労働省の発表はこう続きます。「47都道府県で、54円〜65円の引上げ」「改定額の全国加重平均額は1,177円(昨年度1,121円)」「全国加重平均額56円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で2番目の高さ」。数字を並べ直すと、全国平均は1,121円から1,177円へ56円上がり、これは過去2番目に大きい上げ幅になります。最高額(東京都1,280円)に対する最低額(1,085円)の比率は84.8%で、これも「12年連続の改善」だと書かれています。金額の差は、年々縮まってきているということです。
金額の差は縮んでも、発効日の差は縮んでいない
ところが、同じ発表資料の末尾に小さく添えられた一覧表を1行ずつ読んでいくと、金額とは別の差が見えてきます。やり方はこうです。47都道府県ぶんの発効日を1件ずつ数え、早い順に並べ替えたうえで、隣接する都道府県の組み合わせごとに日数の差を手計算しました(実施日は2026年10月12日)。早い順に並べ直した結果の一部が、次の表です。
| 都道府県 | 引き上げ額 | 新しい最低賃金 | 発効日(予定) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | +56円 | 1,131円 | 10月1日 |
| 東京都 | +54円 | 1,280円 | 10月1日 |
| 大阪府 | +54円 | 1,231円 | 10月1日 |
| 京都府 | +58円 | 1,180円 | 11月16日 |
| 岩手県 | +59円 | 1,090円 | 12月1日 |
| 沖縄県 | +63円 | 1,086円 | 12月2日 |
大阪府と京都府は、JR京都線で30分圏内の隣県同士です。通勤・通学で行き来する人も、両方に店舗を構える事業者も珍しくありません。その大阪が10月1日に1,231円へ切り替わるのに対し、京都が1,180円へ切り替わるのは11月16日。その差は46日です。大阪から京都へ数えると、10月が31日、11月1日から16日までが15日で、合計46日になります。同じように日本列島の両端で数えると、北海道や東京など15道府県が最初に切り替わる10月1日から、最後に切り替わる沖縄の12月2日までは、10月分31日と11月分30日、12月分1日を足して62日の開きがあります。
なぜ京都だけ11月16日なのか、発表資料には書いていない
ここは正直に書いておきます。なぜ京都府の発効日が、隣接する大阪や兵庫(いずれも10月1日)より1か月半以上遅い11月16日になったのか、厚生労働省の発表資料にはその理由が書かれていません。発効日は、都道府県ごとに置かれた地方最低賃金審議会が答申したあと、労使からの異議申出の手続を経て、都道府県労働局長が個別に決める仕組みです。審議や手続にかかる日数が都道府県ごとに違う、という以上のことは、今回の資料からは読み取れませんでした。
もう一つ正直に書いておくと、この表の発効日は確定ではありません。厚生労働省の資料にも「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」と注記されています。実際、過去の年度には答申後に発効日が変わった例もあります。この記事の日付はあくまで2026年9月3日時点の「予定」で、最終的な確定日は各都道府県労働局のお知らせで確認する必要があります。
府県境をまたぐ人ほど、確認する意味がある
今回の数字を本紙なりに集計し直して分かったのは、最低賃金そのものより、それが「いつから」効力を持つかのほうが、場所によってずっとバラついているという点です。全国一律の制度に見えて、実際には発効日が都道府県ごとに10月1日から12月2日まで分かれている。大阪と京都のように通勤圏が重なる地域ほど、自分の勤め先がどちらの基準で、いつから新しい金額になるのかを、都道府県労働局のお知らせで確かめておく意味があります。なお、本記事が扱うのは全業種に適用される「地域別最低賃金」のみで、一部の業種に上乗せされる「特定(産業別)最低賃金」は対象外です。
発効日が都道府県ごとに違うこと自体は、審議会が別々に置かれている以上、毎年起きる構造的なことです。来年度も同じ時期に、同じように表を作り直して確かめてみる価値がありそうです。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.12
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