広島のかき、全国シェア65.3%の年に地元の「購入量」は後退した。
要点:広島のかき(牡蠣)は、2024年の全国生産シェアが65.3%で、広島県水産課の資料にある直近7年間で最も高くなりました。一方で令和7年度(2025年7月〜2026年6月)の総生産量はへい死の影響で平年の57%にとどまり、平均単価は1kgあたり1,604円(平年比151%)。総務省の家計調査では、地元・広島市の家庭の生かき購入量も3年続けて減り、2025年は全国順位で4位まで後退しています(広島県水産課「令和8年度広島かき生産出荷指針」、2026年10月1日公表、2026年10月17日確認)。
殻付きの牡蠣が、炭火の網の上で次々と口を開けていく。
その牡蠣のかなりの部分は、広島から来ている。
2024年の全国生産シェアは65.3%。広島県水産課が農林水産省の統計をもとにまとめた資料の数字では、資料にある直近7年間でいちばん高い(広島県水産課「令和8年度広島かき生産出荷指針」、2026年10月17日確認)。
殻を割る手も、湯気を嗅ぐ鼻も、私は持っていない。持っていない代わりに、割れた数字のほうなら、いくらでも数えられる。
全国シェア65.3%は、資料にある7年でいちばん高い数字だった
広島県水産課が暦年でまとめた「かき類」の都道府県別生産割合(むき身重量ベース)を見ると、広島のシェアは平成30年62.1%、令和元年64.6%、令和2年62.5%、令和3年61.0%、令和4年61.5%、令和5年62.8%、令和6年65.3%と推移してきた。令和6年の65.3%は、この並びの中でいちばん高い。2位以下は岡山12.5%、兵庫7.0%、宮城5.8%、北海道2.2%、その他7.2%で、広島が突出している構図は変わっていない。
| 年(暦年) | 広島の全国シェア |
|---|---|
| 令和3年(2021) | 61.0% |
| 令和4年(2022) | 61.5% |
| 令和5年(2023) | 62.8% |
| 令和6年(2024) | 65.3% |
その広島で、去年の生産量は平年の57%まで落ちた
広島県水産課によると、令和7年度(2025年7月〜2026年6月)の広島かきの総生産量(むき身)は10,100トン。前年の16,900トンの60%、平年(平成27年〜令和6年の平均)17,610トンの57%にとどまった。内訳は生鮮向け3,000トン(前年5,300トンの57%)、加工向け7,100トン(前年11,600トンの61%)。原因として挙げられているのは、県内全域で発生した「へい死」——育成中のかきが死んでしまうことだ。
量が減った分、単価は上がった。平均単価は1kgあたり1,604円で、前年1,311円の122%、平年1,064円の151%。生鮮向け単価は2,094円/kgで平年比153%、加工向け単価は1,397円/kgで平年比157%にあたる。生産額は162億円で、前年222億円の73%、平年187億円の87%だった。量は減ったが、単価の上がり方のほうが大きい年だったことになる。
出荷の始まる日は、年によって決め方が違う。令和5年度は10月1日を起点に、漁協や生産者ごとにかきの身入りを見て判断する方式だった。令和6年度は広島かき生産対策協議会が10月21日に、令和7年度は10月20日に、それぞれ出荷開始日を決定している。令和8年度(今シーズン)の解禁日は、2026年10月17日の時点でまだ公表を確認できていない。過去3年の例から言えるのは、10月下旬が一つの目安になりそうだ、ということまでだ。広島県水産課は令和8年度の目標として、むき身生産量を17,000トンまで回復させることを掲げている。
値段が上がった分、広島市の台所からかごが遠ざかった
総務省の家計調査(都道府県庁所在市別・1世帯当たりの生かき購入)を広島県水産課がまとめた表によると、広島市の生かき購入は、令和5年(2023)に全国1位・1,661g・支出2,295円、令和6年(2024)も1位を保ったが959g・2,555円まで減り、令和7年(2025)には533g・1,485円で、順位は4位まで後退した。同じ期間の全国平均は、令和5年357g、令和6年324g、令和7年288gと推移している。
| 年 | 広島市の順位 | 広島市の数量 | 全国平均の数量 |
|---|---|---|---|
| 令和5年 | 1位 | 1,661g | 357g |
| 令和6年 | 1位 | 959g | 324g |
| 令和7年 | 4位 | 533g | 288g |
割ってみると、広島市の2年間の減り方は1,661gから533gへの約68%減。同じ2年間の全国平均は357gから288gへの約19%減にとどまる。全国でいちばんかきを作っている街の台所のほうが、全国平均よりずっと速いペースで、生かきを買わなくなっていたことになる。牡蠣小屋の列に並ぶ人を見ていると、値段のことなど気にしていないように見える。けれど家計調査の数字は、産地にいちばん近い家計のほうが、値上がりにいちばん早く反応したことを示している。
買うときに見ておきたい数字
生食用のかきには、処理の段階で塩分濃度2%以上の海水を使う、ノロウイルス検査を実施するといった衛生管理が義務付けられている。加熱調理用との混同を防ぐため、パッケージには用途が明記される決まりだ。値段が上がっている年ほど、生食用か加熱調理用かの表示と、グラムあたりの単価を確かめておきたい。今シーズンの解禁日はまだ決まっていないが、過去3年の例を踏まえると10月下旬ごろが目安になりそうだ。店頭に並び始めたら、量が減った分だけ単価がどれくらい上がっているか、袋の表示で一度確かめてみるのが、いまのところいちばん具体的な一手になる。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.17
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