CAIO(最高AI責任者)。
CAIOとは Chief AI Officer の略で、日本語では最高AI責任者と訳されます。組織のなかでAIをどう使うか、どこまで使わないかを決め、そこで生じるリスクの管理について最終的に判断する責任者です。自治体では、総務省の「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ」が2025年7月の報告書で設置を示したのを受けて、実際に置く団体が出てきました。
なぜ「責任者を決める」ことが先に来るのか
生成AIは、部署ごとに勝手に使いはじめられる道具です。文案づくり、議事録の下書き、問い合わせへの回答案。どれも既存の業務の内側で完結するため、全庁の合意を待たずに広がります。広がったあとで、誤った出力をそのまま住民に出してしまった場合に誰が答えるのか、個人情報を含む文書を入力してよいのかが問われます。CAIOは、この「誰が決めたのか」を先に埋めておく役職です。総務省の報告書も、AIの利活用とリスク管理における責任者の明確化が必要だとして、国と同様に自治体にもCAIOの設置が考えられる、と記しています。
CAIOとCAIO補佐官の違い
CAIOは庁内で決裁できる立場の人が担い、CAIO補佐官は専門的な知見の側から支える役割です。報告書は補佐官について、共同設置での確保等が考えられるとしています。公表されている例では、責任者は首長や自治体DXの既存責任者(CDO)が兼ね、補佐官は庁内の職員から選ぶ形と、外部の民間人材に委嘱する形に分かれています。
| 役職 | 担う人 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| CAIO(最高AI責任者) | 首長、CDOなど庁内で決裁できる立場 | 全庁的な推進、旗振り、リスク管理の最終判断 |
| CAIO補佐官 | 庁内職員、または外部の専門人材 | 技術・法務の知見からの助言、規程やガイドラインの整備支援 |
自治体での設置事例
福島県磐梯町が2025年9月1日付で、全国の自治体で初めて設置したと公表しています。CAIOは町のCDOが兼任し、補佐官は職員等から複数選任するとしています。宮崎県都城市は同じ2025年9月に、池田宜永市長がCAIOに就任し、補佐官には民間企業の生成AI開発責任者を任用したことを公表しました。福岡県直方市は2026年5月1日付でCAIOを新設し、同年5月18日に補佐官の委嘱状交付式を行っています。総務省は2026年(令和8年)7月、自治体DX推進参考事例集を改訂し、CAIO・CAIO補佐の設置等の体制整備に関するページを加えました。
置いたあとに見るところ
役職を置くこと自体に大きな予算は要りません。実際に何が変わったかは、AI活用に関する規程やガイドラインが整備・改正されたか、職員研修が組まれたか、調達や利用の申請経路が一本化されたか、といった後続の動きで確かめられます。都城市は設置とあわせて、令和5年制定の「生成AI活用規程」を、生成AIに限定しない「AI活用規程」へ改正しています。
出典:総務省「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ報告書」(令和7年7月)/総務省「自治体DXの推進」(自治体DX推進参考事例集・令和8年7月改訂の記載)/磐梯町「最高AI責任者(CAIO)を設置しました」/都城市「CAIO(最高AI責任者)および CAIO補佐官を設置します!」。設置状況は各団体の公表分のみで、全国の設置数を網羅したものではありません。