用語辞典 — ツギノテ。LOCALGLOSSARY

低温貯蔵

低温貯蔵とは、収穫した農産物を凍らせない範囲の低い温度に置いて保つ扱いです。品目によっては、傷みを遅らせる目的だけでなく、置いている間に起きる成分の変化そのものを狙って行われます。栗はその代表で、兵庫県立農林水産技術総合センターは「収穫した栗を0℃の温度に30〜40日貯蔵すると、酵素が働き、澱粉がショ糖にかわり、ショ糖含量は約3倍に増加します」と説明しています。

ここで増えているのは、外から加えた糖ではありません。栗はもともとデンプンを蓄えており、低い温度に置かれている間に酵素がそれをショ糖へ組み替えます。したがって貯蔵で変わるのは中身の組成であって、実そのものが大きくなったり重くなったりするわけではありません。同センターは実行するうえでの注意として、冷蔵庫に入れた日を忘れないよう記録しておくことを挙げています。温度ではなく日数で管理する工程なので、始めた日がわからなくなると終わりも決められません。

産地の側では「出荷を遅らせる工程」になる

低温貯蔵を工程として組み込むには、温度を保った部屋と、そこを一定期間ふさげる見通しが要ります。茨城町の下飯沼地区でつくられる飯沼栗は、ひとつのイガの中に一粒の実がなる「1毬1果」を目標として栽培され、茨城県の紹介では収穫後2週間以上貯蔵されると記されています。栽培する農家は10軒ほどとされます。畑での作業が終わったあとにさらに日数を置く形なので、貯蔵設備を持つ産地でなければ同じ工程は踏めません。

家庭に持ち込むときの限界

家庭用の冷蔵庫にも冷蔵室より低い温度帯の区画(チルド等)が備わっていることが多く、条件に近づけられる余地はあります。ただし庫内の実際の温度は、機種・設定・収納量によって変わります。公表されている「0℃で30〜40日」はその温度を保った貯蔵での数値であり、家庭で同じ日数を置いたときにどれだけ糖が増えるかを一般化して示す資料は見当たりません。日付を記録して日数を管理する、という部分だけはそのまま持ち込めます。

補足:出典は兵庫県立農林水産技術総合センター「栗の甘みが3倍に」、茨城県「いばらきの栗特集2025」(2026年8月25日確認)。数値は栗についての記述であり、他の品目に当てはまるものではない。関連語:ブランチング生詰め土用干し