用語辞典 — ツギノテ。LOCALGLOSSARY

生詰め

生詰めとは、貯蔵する前に一度だけ加熱処理をして、出荷のときは加熱せずに瓶へ詰める清酒の扱い方を指す言い方です。秋に出回る「ひやおろし」がこれにあたります。国税庁が公開している「清酒の製法品質表示基準」の概要は、参考として「生酒、生貯蔵酒以外の清酒は、通常、貯蔵する前と出荷する前の2回加熱処理をしています」と記しており、生詰めはこのうち2回目を行わない形になります。

基準に定義がある言葉ではない

清酒の製法品質表示基準の任意記載事項に挙げられているのは、原料米の品種名、清酒の産地名、貯蔵年数、原酒、生酒、生貯蔵酒、生一本、樽酒、「極上」などの品質が優れている印象を与える用語、製造時期です。「生詰め」も「ひやおろし」も、この列には入っていません。したがってラベルにこれらの語があっても、基準に照らして要件を確かめられる用語ではなく、蔵が選んで書いた言葉として読むことになります。

基準が定義している近い用語は2つあり、どちらも生詰めとは異なります。生酒は製成後、一切加熱処理をしない清酒に表示できるもの。生貯蔵酒は製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理した清酒に表示できるものです。生貯蔵酒と生詰めは、貯蔵と出荷という2つの場面のどちらで加熱するかが入れ替わった関係にあります。

保存の注意書きが義務なのは生酒

同じ基準の必要記載事項では、「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」に保存又は飲用上の注意事項を表示することが定められています。対象は生酒であり、貯蔵前に1回加熱している生詰めの酒はこの義務の対象ではありません。瓶に冷蔵保存の指示がある場合、それは蔵が自ら足した記載にあたります。

あわせて、瓶詰めの年月にあたる製造時期の表示は、令和4年の告示改正で必要記載事項から任意記載事項へ変更され、令和5年1月1日から施行されています。加熱の回数を減らした酒がいつ詰められたかを外から確かめる手がかりは、制度上は必須ではなくなりました。

補足:出典は国税庁「『清酒の製法品質表示基準』の概要」、国税審議会酒類分科会 資料2-2「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正等について」(令和4年1月19日)。いずれも2026年8月22日確認。改正には令和4年12月31日以前に移出した清酒についての経過措置があります。加熱処理の温度・時間は蔵や商品によって異なります。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。