ブランチング。
ブランチングとは、冷凍や乾燥の前に野菜を沸騰水などで短時間加熱して酵素の働きを止める下処理です。兵庫県立農林水産技術総合センターの報告では「酵素の働きを止めるために沸騰水中で茹でて加熱処理すること」と説明され、適切に行うことで解凍後の変色防止や食感・風味の保持に効果があるとされています。
収穫された野菜は、切り取られたあとも呼吸などの生命活動を続けます。酵素はその活動を担う一方で、変色や風味の変化も進めます。冷凍しても酵素の働きは完全には止まらないため、凍らせる前に一度加熱してその働きを断つ、という順序になります。市販の冷凍野菜が長く色を保っているのは、この工程が入っているためです。
「茹でる」とは時間が違う
ブランチングは食べるために茹でる工程ではないので、必要な時間も別に決まります。一般的な目安は、生野菜を茹でるのに必要な時間の70〜80%程度とされます。ただし最終的な硬さは解凍のしかたに左右されるため、加熱時間だけを固定すると狙いから外れます。
枝豆での検討例では、凍った枝豆を沸騰水中で2分間加熱する急速解凍を前提にした場合、好ましい硬さ(破断荷重3N〜5Nの範囲)になるブランチング時間は5分間だったと報告されています。この試験は兵庫県が育成した黒大豆枝豆を対象としたもので、品種や解凍条件が変われば適切な時間も変わります。
家庭で使うときの位置づけ
枝豆やそら豆のように収穫後の品質低下が速い野菜は、食べきれない分を生のまま冷凍するより、先に加熱してから凍らせるほうが色と食感を保ちやすいとされます。逆に言えば、冷凍庫に入れる時点で一度火を通しているので、食べるときの加熱は短くて足ります。凍ったものを長く茹でると、二度目の加熱が重なって柔らかくなりすぎます。
補足:出典は兵庫県立農林水産技術総合センター「私の試験研究」(北部農業技術センター 廣田智子)。数値は同報告の試験条件下のもので、品種・解凍方法により変わる。関連語:プライドフィッシュ。