COMmmmONS。
COMmmmONSとは、国土交通省が令和7年度に始動した地域交通DX推進プロジェクト。モビリティに関するサービス・データ・マネジメント(政策)・ビジネスプロセスの4つの柱について、連携・協働を進めるべき範囲を「協調領域」と定義し、相互運用性を確保するための仕様書やオープンソースなどの技術的アセットを国が作って公開する取組。
名前のとおり「共有地(commons)」の考え方に立っています。各社が自分のところだけで作り込むのをやめ、みんなが同じ土台に乗る部分を国が用意する、という役割分担です。「協調領域」とは、競争して差をつけるところではなく、そろえたほうが全体の得になる範囲、という意味の言い方です。
何が問題だったのか
国土交通省「交通空白」解消本部の取組方針2026は、地域交通の現状をこう説明しています。ダイヤ編成、車両運行管理、予約・配車、運賃収受、運行実績管理といった業務が、事業者ごと、さらには事業者の中の業務単位ごとに別々のシステムで動いており、相互につながっていない。この結果、取得されているデータが事業者の内部でも十分に活用されず、地域全体として輸送の需要と余力を見渡すことが難しくなっている、というものです。
つながっていないと何に困るのか。同じ資料は、事業者間や分野をまたいで組もうとしたときに、データの形式や仕様が統一されていないため情報共有や調整のコストが高止まりする、と書いています。スクールバスや病院・商業施設の送迎を含めて車両を融通し合う「地域輸送資源のフル活用」を進めようとしても、そこで止まる。仕様をそろえるのは、その手前の工事にあたります。
令和7年度に作られたもの
取組方針2026が挙げているのは3つです。データを使って地域公共交通計画をつくるのを支える標準的なデータ分析技術の開発。事業者ごとに個別最適化されているデータを地域単位で統合できるようにするための、モビリティデータ仕様の標準化。そして複数事業者が連携してデマンドバスのシステムを共通化するための、システム連携仕様の標準化です。
成果物は、システム連携仕様、データ仕様、オープンソーススクリプト、業務要件・システム要件定義などを含む標準ドキュメントとして策定・公開されました。実際の補助事業の申請書では、「デマンドバスシステム連携API標準仕様書」「バス業務標準仕様書」「乗降実績データ標準仕様書(鉄道・バス)」といった名前で参照されています。
どう使われているか
令和8年度の「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」地域交通DX推進タイプでは、2次公募の第1次選定に選ばれた5事業のすべてが、この種の標準仕様のいずれかに紐づいていました。たとえば会津地域の共通予約基盤の事業は、デマンドバスシステム連携API標準仕様書に準拠した共通APIの層を新規に作り、別会社の2つのオンデマンド交通の仕組みにつなぐという組み立てです。仕様が先にあるため、つなぐたびに一から取り決めをしなくてよい、というのが利点として挙げられています。
普及の段階に入っており、国土交通省は令和8年7月31日に「地域交通DX推進プロジェクトCOMmmmONS第2回セミナー」の開催を発表しました。案内には「COMmmmONSの本格的な普及・実装に向けて」と付けられています。
補足:公開されている仕様書の一覧や版の更新状況は国土交通省の公表資料で確認する必要がある。仕様に準拠したからといって事業者間の合意や費用負担の問題が自動的に解けるわけではなく、そこは各地域の調整に残る(2026年8月時点)。