LPWA。
LPWA(Low Power Wide Area)とは、消費電力を抑えたまま電波を広い範囲へ届かせることを狙った無線通信方式の総称。ひとつの規格の名前ではない。通信の速度と容量は小さく、センサーが測った数値を少量ずつ長く送り続ける用途に向く。
スマートフォンの通信は、動画を運ぶために速さと容量を優先します。LPWAはその逆側です。運ぶのは水位や積雪深、開閉の有無、電池残量といった短い数値だけ。かわりに、端末を電池で長く動かすことと、基地局から遠くまで届くことを取ります。写真も音声も送れませんが、山あいの施設や川べり、農地のように電源も回線も引きにくい場所で、確かめに行く手間を減らすために使われます。
大きく2種類に分かれる
ひとつは、免許を要しない周波数帯を使う方式です。日本では920MHz帯(サブギガ帯)が代表的で、LoRaWANやELTRESなどがこれにあたります。基地局を自分たちで立てられるため、通信事業者の電波が届きにくい場所でも構築でき、月々の通信料をかけない設計にもできます。そのぶん、基地局と設置場所の維持は使う側の仕事になります。
もうひとつは、携帯電話網を使う方式です。LTE-MやNB-IoTがこれで、既存の基地局に乗るため自前設備は少なく済みますが、回線ごとの利用料が継続的に発生します。地域BWA(2.5GHz帯の一部を地域の公共サービス等に割り当てる無線システム)とは別の枠組みなので、混同しないほうが読み違えません。
自治体での使われ方
総務省の令和8年度「地域社会DX推進パッケージ事業(補助事業)」で一次選定された9件のうち、事業名にLPWAを明記していたのは舞鶴市(土木インフラ監視)と京丹波町(農林業DXと住民の見守りネットワーク)の2件で、大野市は農業集落排水施設の監視にLoRa無線を挙げています。いずれも、職員や委託業者が現地へ巡回していた点検を、手元の画面へ寄せる取組です。
導入時に見落とされやすいのは、電波が届くかどうかよりも続けられるかどうかです。整備費に補助が付いても、通信料・センサーの電池交換・故障時の駆けつけは日常の経費として残ります。誰が払い、誰が現地に行くのかを決めていない構成は、数年で値が止まります。
補足:規格の呼び名・利用できる周波数・料金体系は事業者と時期によって異なる。免許の要否は電波法上の扱いに従うため、導入時は総務省および提供事業者の最新情報で確認すること。