無医地区。
無医地区(mui-chiku)とは、原則として医療機関のない地域で、その地区の中心的な場所を起点としておおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住しており、かつ容易に医療機関を利用することができない地区。
線の引き方は3つの条件でできています。医療機関がないこと、半径およそ4kmの中に50人以上が住んでいること、そして容易に医療機関を利用できないこと。人が少なすぎる集落は、この定義では無医地区に数えられません。医療が足りているかどうかではなく、対策の対象として把握すべき単位を切り出すための区分です。
準無医地区という区分
無医地区にはあたらないものの、これに準じて医療の確保が必要だと都道府県知事が判断し、厚生労働大臣が適当と認めた地区は、準無医地区として扱われます。判断が知事から始まり、国が認めるという二段の手続きになっているため、地区の数は実態の変化だけでなく、都道府県ごとの申請の姿勢にも左右されます。統計を読むときは、無医地区と準無医地区を合算した数で見ることが多いのはこのためです。
20年でほとんど動いていない
無医地区と準無医地区の合計は、1999年が1,216、2004年が1,154、2009年が1,076、2014年が1,057、2019年が1,084です。20年で132減っていますが、2014年から2019年の5年では27増えました。医師や看護師の確保が難しいことに加えて、オンライン診療で対応しようとしても、診療を行う場所が地区の中に見つからないという二重の詰まりが指摘されています。未利用の診療所や公民館がない地域では、機器があっても実施できません。
この「場所がない」という詰まりに対して、郵便局の空きスペースを診療の場として使う取組が2023年度から各地で試されています。厚生労働省医政局が2023年5月18日に出した総務課長通知で、へき地等において医師が常駐しないオンライン診療のための診療所を開設する手続きが定められ、郵便局舎での実施が可能になったことが出発点です。2024年1月の通知により、現在はへき地以外でも実施できます。総務省の実証事業として石川県七尾市から始まり、2025年12月1日時点で8つの地域・12の郵便局まで広がっていますが、いずれも中山間地域・過疎地域・離島に区分される場所にある小規模局です。
補足:定義と地区数は、日本郵便株式会社が郵政民営化委員会に提出した資料「郵便局を活用したオンライン診療等支援事務について」(2025年12月25日)が厚生労働省「へき地の医療について」から引いた記載による。調査は5年ごとに行われており、上記は各調査年の数値。地区の把握は都道府県を通じて行われるため、増減には調査時点の判断も影響する。