RAG(検索拡張生成)。
RAG(検索拡張生成・ラグ)とは、生成AIのモデル自体は作り替えず、外部に置いた文書を検索して参照させたうえで回答を作らせる仕組み。自治体では法令・マニュアル・議会会議録・FAQ集などを読ませる形で使われる。
素の生成AIは、学習した内容の範囲で「もっともらしい文章」を作ります。そのため、自分の役所の要綱や運用のように学習されていない情報は答えられず、それらしい形の誤りが混じります。RAGは、質問が来たときにまず指定の文書群から関係する部分を探し、それを材料として渡してから回答を作らせる方式です。参照した箇所を示せるため、職員が根拠にあたって確かめられる点が、行政実務では大きな違いになります。
ファインチューニングとの違い
ファインチューニングはモデルそのものに追加学習させる方法で、作り直しに手間と費用がかかり、文書が改正されるたびに追随しにくい欠点があります。RAGは参照先のファイルを差し替えれば内容が更新されるため、条例改正や様式変更が続く行政の文書と相性がよいとされます。総務省の令和7年度調査(令和7年10月31日時点)では、生成AIをカスタマイズしている390件のうち、方法としてRAGを挙げた件数が329件で最多、API連携が24件、ファインチューニングが19件でした。
注意点
RAGは「参照させる文書が整っていること」が前提です。マニュアルもFAQも整備されていない業務に導入しても、探す先がないため精度は上がりません。また、市販の書籍や有償の実務資料を読ませる場合は著作権者の許諾が必要になります。参照させれば必ず正しく答えるわけでもなく、検索が的を外せば誤答は起こるため、根拠表示や別経路での突き合わせ(法令検索との連携など)を併せて設計するのが通例です。
補足:数値は総務省「自治体における生成AI導入状況(令和7年度)」の公表値(複数回答)。用語の呼び方や実装方式は事業者によって異なる場合がある。