特定地域づくり事業協同組合。
特定地域づくり事業協同組合(tokutei-chiiki-dukuri-kumiai)とは、人口が急減している地域で、地域の事業者が集まって働き手を通年雇用し、繁忙期のずれる複数の事業者へ派遣する組合。人口急減地域特定地域づくり推進法にもとづく制度。
根拠となる人口急減地域特定地域づくり推進法は議員立法として国会に提出され、令和元年12月4日に公布、令和2年6月4日に施行されました。組合は都道府県知事の認定を受けて労働者派遣事業を行い、運営費についてはその2分の1の範囲内で公費支援を受けられます。夏は宿、秋は農作業、冬は加工場、というように季節ごとの仕事をつなぐ働き方を、制度は「マルチワーカー」と呼んでいます。
なぜ重要か
地方の一次産業や観光業では、仕事が季節に集中するため通年の雇用を出しにくく、働き手からは「1年分の収入にならない」という理由で敬遠されがちでした。組合が雇用の受け皿になることで、事業者は繁忙期だけ人手を確保でき、働き手は通年雇用と安定した収入を得られる、という設計です。移住施策と組み合わせ、仕事と住まいをセットで提示する自治体もあります。総務省の認定一覧によれば、2026年7月1日時点の認定は146組合・149市町村。前年12月1日時点の悉皆調査では、活用意向のある市町村が188、検討中が242、意向なしが1,288(対象1,718市町村)でした。
深め方
数の伸びとは別に、1組合あたりの規模は小さいままです。総務省が令和7年3月にまとめた調査研究事業の報告書(当時の認定100組合のうち83組合が回答)によると、派遣職員数の平均は約4人、組合員は「6〜10者」が最多、事務局の職員数は「1人」が53.0%、「2人」が28.9%でした。事務局の業務量が多い仕事は経理事務・派遣契約書類の手続き・勤怠管理の順で、いずれも派遣職員や派遣先が増えるほど比例して重くなります。派遣を増やすと収支は安定に向かう一方、同じ動きが事務局の負担を押し上げる構造があり、報告書は外部委託やデジタルツールの活用を対応策に挙げています。
補足:数値は総務省「特定地域づくり事業協同組合認定一覧(R8.7.1現在)」「特定地域づくり事業活用意向調査(令和7年12月1日時点)」および「令和6年度 特定地域づくり事業協同組合制度に関する調査研究事業 報告書概要版」(令和7年3月)による。関連語に関係人口、地域活性化起業人。