ウェブアクセシビリティ。
ウェブアクセシビリティとは、高齢者や障害のある人を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できることをいいます。総務省は、公的機関のホームページで対応が不十分だと「社会生活で多大な不利益が発生したり、災害時等に必要な情報が届かない状況となれば生命の危機に直面する可能性がある」として、確保への取組を進めています。
基準はJIS X 8341-3
日本でよりどころになる規格が、JIS X 8341-3です。正式名は「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」。使っている端末やブラウザー、支援技術に関係なくウェブコンテンツを利用できるようにするための要件を定めています。現行版は2016年に出たJIS X 8341-3:2016で、国際的なガイドラインWCAG 2.0を土台にしています。
2025年9月に国際規格ISO/IEC 40500が更新され、その内容がWCAG 2.2に揃いました。これを受けてJISの改正原案づくりが進んでおり、公的機関向けの手引きである「みんなの公共サイト運用ガイドライン」も、改定に向けた研究会の第1回が2026年8月24日に開かれます。
適合レベルA・AA・AAA
達成基準(点検項目)は3段階に分かれています。数が増えるほど、対応の難度と範囲が上がります。
| レベル | 位置づけ | 例 |
|---|---|---|
| A | 満たさないと利用そのものが成り立たない基本要件 | 画像に代替テキストを付ける、キーボードだけで操作できる |
| AA | 公的機関が目標として掲げることが多い水準 | 文字と背景のコントラスト比を確保する、拡大しても読める |
| AAA | すべてのコンテンツで満たすのは難しい上位要件 | より高いコントラスト比、手話による情報提供 |
どのレベルを目指すかは、各団体が「ウェブアクセシビリティ方針」として決めて公開します。総務省の令和7年度調査では、方針を策定して公開している公的機関は52.1%でした。
公的機関に求められる手順
総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン」(現行は2024年版)は、取り組む順序をこう整理しています。①対象範囲と目標レベルを決めて方針を公開する、②担当部署と各部署の役割を決める、③新規構築や外注の仕様に条件を書き込む、④JISに基づく試験を行って結果を公表する、⑤付属の「ウェブアクセシビリティ取組確認・評価表」で年1回確認して公表する。評価ツールとして総務省がmiChecker(エムアイチェッカー)を無償で提供しています。
つまずきやすいところ
同じ調査で、取り組んでいないと答えた団体の理由は「人員や予算が限られており、十分な投資ができない」が65.6%、「専門知識や経験を持つ人員がいない」が59.4%でした。ヒアリングでは「法的な義務、罰則がないため組織内の理解を得ることが難しく、工数確保、予算確保の両面で優先度が下げられてしまう」という声も挙がっています。熱心な団体でもPDFファイルの対応までは手が回っていない、という指摘もあります。
出典:総務省 情報アクセシビリティポータルサイト「公的機関のウェブアクセシビリティ」「みんなの公共サイト運用ガイドライン」/総務省「公的機関のウェブアクセシビリティ対応の促進に関する調査研究報告書 概要版」(令和8年3月26日)/ウェブアクセシビリティ基盤委員会「JIS X 8341-3改正概要」(2026年2月6日)。規格・ガイドラインは改正が進行中のため、対応判断では最新の資料をご確認ください。