横展開。
横展開とは、ある自治体で成果の出た取組を、他の自治体が自分のところに移して実施すること。国・都道府県が事例集や表彰制度を設ける際の目的として掲げられる語で、上下関係のある「普及」ではなく、同じ立場の団体どうしで移し替えるという含みがある。
愛媛県が隔年で開く「行革甲子園」は、この考え方を審査に組み込んだ例です。募集要項は評価のポイントを「創(そう)=創意工夫あふれる取組か、先進性・独創性があるか」「効(こう)=費用対効果の高い取組か」「種(しゅ)=他にアイデアの種を提供する取組か(他の自治体に広がる取組か)」の3つとしており、3つのうち「種」だけが応募団体の外側を見ています。要項は大会の狙いを「自らの取組を全国に横展開し、また、全国の優良事例を自らの取組に活用すること」とも書いています。
着想の共有と、条件の共有は別
横展開が語られるとき、共有されやすいのは着想のほうです。一方で受け取る側が要るのは、導入までにかかった期間、費用が誰にいくら発生するか、動かすのに何人必要か、といった実施条件になります。行革甲子園2024の公開資料では、この種の情報は表彰の記録や発表資料そのものより、参加者からの質問と各団体の回答の抜粋に具体的に現れていました(例:新潟県湯沢町「導入決定から契約、スタートまで3か月程度」、山形県山形市「技術的な面では、どの消防OAメーカーでも連携は可能ですが、現時点では全てのメーカーで費用が発生します」)。
効果の確認はむずかしい
横展開が実際に起きたかどうかは、追跡の仕組みがないと確かめられません。愛媛県は募集要項の参考欄で、発表事例を参考に類似の取組が他の自治体で取り入れられるなど「優良事例の波及効果が認められています」と記していますが、どの事例がどこへ何件広がったかを一覧にした公表資料は確認できていません。事例が共有されたことと、他所で再現されたこととは、分けて読む必要があります。
補足:制度・審査軸は開催回や年度で変わる前提で、最新の一次情報(愛媛県 市町振興課「行革甲子園」ページ、各大会の募集要項)で確認を。行革甲子園の応募事例は分野別・都道府県別の一覧として県ホームページで公開されている。